【あんスタ】オレの隣の湊さん2【漣ジュン】 (ページ7)

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その日のことは、よく覚えている。

忘れたくても、忘れられない。

「ただいまー」

久しぶりの我が家にそう言っても、返事はなかった。

けれど、微かに聞こえる水の流れる音と、人のいる気配。

明らかに家の中が”異常”で、俺は荷物を玄関に置いたまま、慎重に足を進め、音のする洗面所の一歩手前で足を止める。

そして、ゆっくりと中を覗いた。

「_______________っ！！」

洗面台に溜まり続ける水は赤黒く染まり、それは洗面台の周りや床に飛び散っていた。

赤黒い正体は、それにつけられている手首から出ていて、その手首の正体は、

「_______________Aっ！！」

大慌てで水から手首を出し、何度も何度も名前を呼びかける。

けれど、制服を着て虚ろな目をした妹は、苦しそうに小さく細かく呼吸をしているだけだった。

片手で妹を支え、もう片方の手でスマホを取り出して救急車を呼んだ。

「妹の意識がない！！お願いだ！！何だってするから早く来てくれ！！」

とにかく必死だった。

ぐったりしている妹を、1秒でも早く助けたかった。

電話の向こう側に叫ぶように住所を伝えると、スマホを放り投げ妹を両腕で抱き締めて、救急隊員の人が来るのをただ待つことしか出来なかった。