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(ダメっすねぇ。オレ、湊さんの彼氏でもないのに)
こんな独占欲を持ったって何の意味もないと分かっているのに、湊さんの口から他の男の名前が出てくるだけで、嫌だなと思ってしまう。
「じゃあ告白しろよ」と思うかもしれないが、湊さんは明らかにオレのことを”ただの仲良い友人の1人”としか思っていない。
ビビりなオレは、想いを寄せている異性と「両想いだな」と確信が持てるまでは想いを伝えたくはないのだ。
そう思ってしまうのは、単にオレが恋愛経験ゼロだからかもしれないが、人生の初恋は傷つかずに心に残しておきたい。
この初恋が、たとえ実ることがないとしても。
なんて、センチメンタルな気分になっていると、突如カシャッと音が鳴る。
我に返り湊さんを見てみれば、オレにスマホを向けて何故か写真を撮っていた。
「え、何すか?」
「証拠を撮ったんよ」
そう言いながら、スマホを操作している湊さん。
少ししてから、その画面をオレに見せてくれた。
どうやら、湊先輩とメッセージのやり取りをしていたらしい。
兄さん今から見舞い来るけど、お土産何がいい?
何でもいいよー
兄さんじゃあ、漣に何がいいか聞いてみて
何で漣?
兄さんどうせ隣にいるんだろ
このやり取りの後に、今湊さんが撮ったセンチメンタルな気分になってボーッとしているオレの写真が先輩に送られていた。
「どうせ隣にいるんだろ」という先輩のメッセージからも、先輩に直接睨まれているような感じがしてサァッと血の気が引く。
すると、湊さんが送ったオレの写真に既読がつき先輩から電話が掛かってきた。
お願いだから出ないでくれ、と思いながらも、湊さんはオレの心中など知るはずがなく、兄からの電話に容赦なく出た。
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さゆき - うわー続き気になります(TT)物語の流れが私の好みすぎました(TT) (2022年1月23日 17時) (レス) @page48 id: 995ab9826d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水神友花 | 作成日時:2021年11月15日 23時