【あんスタ】オレの隣の湊さん2【漣ジュン】 (ページ15)

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「……いつ撮ったんすか。消してください」

「嫌だね」

けどまぁ、恥ずかしいものは恥ずかしい。

弱みを握られた気分になったオレは、切実におひいさんにその写真を消すように頼むも、楽しそうに笑う目の前のこいつが消すはずがない。

これ以上争ってもただうるさくなるだけだと判断したオレは、半ば諦めることにした。

「Aちゃん。きみのことが大好きなジュンくんが、早く目を覚ましてほしいって嘆いてるね」

「嘆いてないです。やめてください」

オレを揶揄い、くすくすと笑っていたおひいさん。

けれど、その笑顔はすぐに悲しみの入り交じるものになった。

「いつまで眠り続けるんだろうね。純愛ドラマみたいに、王子様がキスでもしないと目覚めないのかな」

そう言っておひいさんは、ゆっくりと湊さんの手を掬うと、縦に入った傷痕を優しく撫でた。

「頑張り屋さんなAちゃんは、世界一幸せにならないとね。そうじゃないと、過去のきみが救われないからね」

傷痕を撫でる仕草や口振りから、おひいさんは湊さんがこの学園に来た真の理由を知っているんだろう。

じゃないと、”過去のきみが救われない”だなんて言わない。

「早く目を覚まして、また沢山お話したり出掛けたりしようね。ぼくもきみのお兄さんもジュンくんも、皆み～んな待ってるね」

湊さんの目覚めを待ち望み、湊さんと話したりしたいと思っているのはオレだけじゃない。

その思いが、眠り続けいる湊さんの耳に届いていますように。