147針 ページ5
とりあえず作戦は失敗してしまった。
つまり谷崎くんが危ない。
作戦に失敗した時のために谷崎くんには国木田さんの異能を応用した、手帳の切れ端を持たせていた。
それで拘束を解いた後は森さんを殺しに行くはず……。
冷や汗が頬を伝った。
『鏡花ちゃん。
谷崎くんを助ける王子様になりに行こうか、生憎白馬は無いけど……。
……急ごう!』
携帯を閉じて、私と鏡花ちゃんは急いでダクトの中に潜り込む。
途中、武器庫の昇降機を使って上に上がりまたダクトに入る。
構成員達が慌ただしく動いているのが、聞こえてくる声から判った。
谷崎くんはもう拘束を解いて最上階へと向かったようだ。
狭いダクトの中を更に進み最上階の部屋の真上にたどり着く。
部屋の中には背中に怪我を負った谷崎くんと、夜叉の姿。
あれは紅葉姐さんの金色夜叉だ!
金色夜叉は空間を埋め尽くす斬撃を繰り出す。
『ッッ鏡花ちゃんッッ!!』
私の言葉と同時にダクトから飛び降りる鏡花ちゃんと夜叉白雪。
間一髪、夜叉白雪によって金色夜叉の刀が防がれる。
「鏡花……!」
『谷崎くん、大丈夫?』
「う………A、さん……。」
私もダクトから飛び降りて谷崎くんの体を支える。
「それにAまで居ったのか……!」
「この建物は昔の庭、裏口も潜入経路も頭に入ってる。」
「紅葉様!御無事ですか!」
鏡花ちゃんと紅葉姐さんがお互いを見つめ合っている後ろで、扉から何人かの構成員達が銃を帯びて入ってきた。
私は空中で手を薙ぎ払う。
その軌道上に針が現れ銃を破壊し、構成員達は狼狽えた。
「なっ!?」
「うわっ!!」
『鏡花ちゃん!戻るよ!』
その間に傷口に触れないように谷崎くんを抱え窓際に走る。
窓に近づいた所で鏡花ちゃんの夜叉が窓を壊し、二人で外に飛び出した。
急いでパラシュートを開き地上へと降りていく。
降りた瞬間に後から来た他の構成員達が銃を撃ってきたが直ぐに止んだ。
恐らく紅葉姐さんが私や鏡花ちゃんの身を案じて止めさせたのだろう。
地上に着いて鏡花ちゃんが敦くんに連絡すると直ぐに探偵社の幌付車が走ってきた。
「乗って!」
荷台の扉が開き、敦くんが中から手を差し出す。
鏡花ちゃんと私は谷崎くんを支えながら荷台に乗り込んだ。
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jumpcontrolbear(プロフ) - 砂漠のうさぎさん» コメントありがとうございます!なんと!!私の知らないところでこの作品の名前が上がっていたんですね!嬉しい限りです!!更新ゆっくりですが頑張っていきます!ありがとうございます! (2019年10月21日 0時) (レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠のうさぎ(プロフ) - あるユーザーさんの紹介から飛んできて一気読みしました。原作の雰囲気を崩さないで新しいキャラが動いていて凄いと思いました。話の展開とか言葉のチョイスとかとても好みです…更新楽しみにしてます、頑張ってください!長文失礼しました (2019年10月20日 21時) (レス) id: ad3e66ea3f (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!あけましておめでとうございます!!また動くみんなを見ることが出来ますね!相変わらずの亀さん更新ですがよろしくお願いします! (2019年1月5日 23時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
桜 - あけおめです!今年ほ更新頑張ってください!作者さん文スト3期4月放送ですよ!来ましたよ!!いろいろと大変かもれませんが頑張ってください! (2019年1月5日 1時) (レス) id: c482d4ca60 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!番外編も読んでくださったんですね…(感涙)楽しんでもらえてなによりです!!亀更新ですが頑張りますので気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2018年11月22日 9時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年8月31日 11時