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カマかけ ページ9

A side


「あ、Aくん。


もう来てたのかね?」



森さんはボクを見つけると目を丸くしていつものように話しかける。



『今さっき着いたところです。』




「そうだったのかい、少し待っておくれ。」



森さんはドレスを持ったままエリスさんを奥の部屋に連れていき、何分かしてから戻ってきた。




「座ってくれたまえ。」



ソファを指さされそこに座る。


森さんもボクと向かい合うようにソファに座った。




「さて、依頼の話しをしようか。」




森さんのその言葉で部屋の空気が一変張り詰めたものに変わる。




「今回依頼したいのは二つだ。


一つ目、Aくんは今週の金曜日の夜、空いているかね?」




森さんは試すようにボクの目に視線をやる。



ボクはそれをまっすぐ見返してから



『残念です、先約があります。』



笑って言葉を返す。




森さんは少し目を細めてほぅ、と呟いた。


「この件に関して軍警は動いているかね?」



森さんは優しそうに笑いながら言葉を紡ぐ。


この人はほんとに人が悪い。




『この件とは、何のことを云っているのですか?』



ボクもまた同じように笑顔で質問する。





森さんは、今度は困ったように笑いながら首を振った。



「やれやれ、カマをかけてみたのだが……。


やはりAくんは一筋縄ではいかないねぇ。」




つまり今週の金曜日の夜、ポートマフィアも銃を密売する人たちを片そうとしている訳だ。


そこでボクも戦力に加えようとしたが、ボクには先約がいる。




金曜日、もしかしたら探偵社の人たちとポートマフィアの人たちが遭遇するかもなぁ……。




ボクは心の中で苦笑する。




「では一つ目は流そう。



次に二つ目だ。



近々ポートマフィア主催で裏組織の交流パーティーを開く。


そこに君も参加してもらいたい。」





森さんは紙を一枚差し出す。



その紙には日付や場所、時間帯などの要項が記されていてボクはそれに隅々まで目を通す。


またその紙とは別の紙を差し出され、それも受け取る。




『…ご依頼書、森様及びポートマフィア様からお受けしました。』




後から渡された紙を折り畳んでコートの中に仕舞う。




「洋服はこちらで用意しておくよ。」




『……男物でお願いしますね……。』




「君が女装すれば、そこらの男なんてイチコロだと思うのだけれどねぇ。」




森さんは楽しそうに目を細めて、意地悪げにボクに云う。

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jumpcontrolbear(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます!!楽しんでいただけて何よりです三└(┐卍^o^)卍 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - とっても面白いです!!作者様すごいです!! (2019年8月12日 1時) (レス) id: e69c1b6ddb (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 裕さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて凄く嬉しいです!!更新頑張るので楽しみにしていてください! (2018年4月6日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続きが気になります!めっちゃ話に引き込まれて好きです!夢主さんも凄い好みで!更新頑張って下さい! (2018年4月6日 14時) (レス) id: 6354e2d8d5 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - やひーさん» ありがとうございます!頑張りますね!! (2018年3月19日 0時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年8月31日 1時

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