間幕 3-2 ページ18
「君と組むことは不本意だが、澁澤を道化にするには、仕方がなかった」
太宰は云い、そっと目を伏せる。
「なにしろ奴は日本政府すら手玉にとった男だ」
太宰の言葉にフョードルは薄い笑みで同意を表す。
「彼は、太宰君の案内があろうとなかろうと、最初からこのヨコハマで霧を起こす気でしたからね」
二つの結晶体を手にしたフョードルが足の向きを変える。
太宰はAの顔に視線を向けた。
その視線に気付いたAは大丈夫、というように笑顔を浮かべる。
それを見た太宰は名残惜しそうに、Aを支えていた手を離し、歩き出す。
支えの無くなったAは一瞬体が揺れたが、しっかりと自分の足で立つ。
ドラコニアの中央に据えられた空位の台座の前で、太宰とフョードルは限りなく近付く。
けれど二人はそのまま歩みを止めることなくすれ違い、ゆっくりと振り返って向き合う。
「どうぞ」
フョードルが二つの結晶体を差し出した。
「この二つが、ここにある異能結晶体のなかで最高の組み合わせです」
赤い光がシャンデリアのように反射した。
「ひとつは、見える範囲の異能者を一か所に集める結晶体。
もうひとつは、触れた異能者同士の異能を融合し、ひとつの異能にする結晶体…」
フョードルはすらすらと二つの結晶体について説明する。
「この二つでコレクションをすべて吸収すれば、エネルギー源は断たれ、霧を維持できなくなります」
フョードルは悪魔の笑みを浮かべる。
ヨコハマ全域を覆うほど大規模な霧を維持しているのは、膨大な量の結晶体のおかげた。
ならば、ドラコニアに蒐集されたすべての結晶体を集め、まとめて無効化してしまえば、霧は簡単に消えるだろう。
太宰ならば、それができる。
もし、太宰とAだけならそれは不可能であっただろう。
なぜなら、太宰が無効化できるのは触れている範囲のみ。
太宰自身は霧を無効化することができるが、他者への霧の力は無効化できない。
ましてやヨコハマ全域に広がるほどの霧など、どうしようもない。
なにより、太宰とAだけでは、澁澤を出し抜くことができない。
だからこそ二人はフョードルという協力者を必要としたのだ。
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jumpcontrolbear(プロフ) - 消しゴムクイーンさん» コメントありがとうございます！！そうだったんですか……ぜひ余裕がありましたらDVDでご覧下さい！終始悶えます（笑） (2018年9月9日 1時) (
レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
消しゴムクイーン(プロフ) - こんにちは。DEAD APPLE…私、見れなかったんですよ！見たかった……これからも頑張ってください！！ (2018年8月15日 13時) (レス) id: b53efceb36 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - なたさん» コメントありがとうございます！！本編の方も読んでくださってるんですね！ありがとうございます！すごく嬉しいです！更新頑張ります！ (2018年5月4日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
なた - このシリーズめっちゃ好きなのでデッドアップル編まで読めて嬉しいです！これからも頑張ってください (2018年5月4日 22時) (レス) id: a61dc9da8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だし丸 | 作成日時：2018年3月23日 18時
