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「……君は一体何なんだ!!!」


落ちた身代わり人形を見て、燭台切光忠は叫んだ。


「呪術師」


淡々と答えるA。


求めている答えが返って来ず、イラつきが募る。


「なんのためにここにいる!!」


「朝食を作るため」


「どうして、ここに来たんだ!!」


「朝食を作るため」


「違う!!どうして、この本丸に来たんだ!僕たちの、本丸に……!!」


言葉に悲しみが混ざる。


Aは、表情を変えることなく答える。


「政府に言われたから」


「そんなことしか言えないのか!?」


刀を握っていない左手で、まな板を殴った。


まな板は真っ二つに割れ、上に置かれていた包丁が左手の甲を切った。


しんと静まり返った台所で、Aの声がやけに大きく聞こえた。


「それ以外に、何を言えばいい?」


同じように淡々と答えたのだが、どこか悲しみが混ざっているようにも聞こえた。


「クロユリ様……」


Aの肩に乗っていたこんのすけが、Aの顔を見上げた。


相変わらず読めない表情で、ただ燭台切光忠を見つめていた。


「私は呪術師。

政府に言われてこの本丸にやってきた。

役目は、この本丸の修繕、刀剣男士の手入、出陣、浄化、鍛刀。

前任は何もせずに殺された。

貴方たちに何をしたのか、記録にないからわからない。

貴方たちに何かしたのは、初代から三代目。

貴方が求める答えは、私にはわからない。

だから、答えられない」


「クロユリ……様……?」


Aが、初めて人間らしさを見せた瞬間だった。


こんのすけはAが、自分から話したことに驚きを隠せないでいた。


そして思った。


Aは、政府が思っている『人形』とは、別物なのではないかと。

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藍央(プロフ) - そうですか、すいません余計でしたね。 (2019年3月4日 12時) (レス) id: 3d1ad82df4 (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 藍央さん» 申し訳ありませんが、キャラクターの性格、話し方等の指摘は受け付けておりません。詳しくは続編に書いてありますが、私も私なりの考えのもと書いています。ご了承お願いいたします (2019年3月3日 23時) (レス) id: 71334657d1 (このIDを非表示/違反報告)
藍央(プロフ) - 江雪や宗三の話し方はわざとですか?仲間の刀剣男士には普通に喋ってもいいと思うのですが… 話はすごく面白いです! (2019年3月3日 21時) (レス) id: 3d1ad82df4 (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 面影草さん» お気遣い、ありがとうございます(^^)私は、気にしないようにしているので、今後、もしまた悲しいコメントがあったとしても、放置してしていただいて構いません。いつも読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m (2019年2月26日 9時) (レス) id: 3090af0f06 (このIDを非表示/違反報告)
面影草(プロフ) - ブラッディ・ドリーマーさん» 返信ありがとうございます。文面がちょっと受け取る側からしたら火に油を注いでるように感じたかもしれません。喧嘩をするつもりはありません。今後、このようなコメントがなくなると良いですね。 (2019年2月26日 9時) (レス) id: 50c6120963 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あき | 作者ホームページ:    
作成日時:2019年2月7日 16時

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