悟が彼女泣かせた件について。【五条悟】 (ページ9)

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９　恋人の定義は五条悟？ページ9

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『…………ッ…、』

見慣れた白い天井だった。
……ああ、自分の部屋かぁ。

重い頭を起こせば一度ずきんと痛みが走る。
それだけで頭痛は収まってくれた。
暗い明かりを頼りに横を見る。

私のベッドにもたれて寝ている
硝子の姿が見えた。
大方、誰かに運んでもらって
硝子が看病してくれたんだろう。

お手洗いに行こうとベッドから出る。
やっぱり熱でもあるのか体は重いし、
布団から出れば寒いと思ってしまう。

すぐに用を済ませ、
携帯片手にベッドに戻った。
硝子には気づかれない様に音を立てずに。
硝子は組んだ腕の上に頭を乗せて
スースーと寝てしまっていた。
……授業後に看病させちゃったとなると、
罪悪感がもの凄い……また今度奢ろう…。

携帯のメール画面を開き、
その中でも個人チャットの
悟とのモノを開いた。

最後にメールをしたのはいつだっけ。
最終チャットの日付は結構前。
それもやっぱり喧嘩内容だ。最悪。

それでも、今回、私も悪いのかもしれない。
体調悪い癖に、“五条に”からかわれるのが
癪で、体調管理を怠った私も悪いのかも…。

「ごめん。」

そう打って送信ボタンに指を伸ばした。
送ろうと思うが、やっぱり考え直してしまう。

…………こういうのは、謝られる方が
なんというか、むず痒いし。
先に謝ってしまった方が、すっきりする。

どうせただ拗らせた喧嘩、
で五条は終わってしまっているだろう。
まぁ、このメール、送るだけ無駄かもだけど。

私が悪い事になった方が、
ちゃんと事も収まってくれると思うし。
止めた指をもう一度送信ボタンに伸ばし、
送信ボタンをタップしようとしたその時。

「流石にそれは優しすぎ。」

私の手首を硝子が掴んだ。
……寝てたんじゃなくて？
狸寝入りでもしてたのか硝子さん。

暗いこの部屋でも分かるくらい
硝子ははっきり笑っていた。
まぁ、悪ガキのするにやっとした笑みだけど。

「……Aが優しすぎるのもあるけど、今回は完璧に悪いのはあっち。
　喧嘩は止めないけど、これを止めなかったら2人ともそのままだから、今回は止めたげる。」

『……そのままって、何時も通りじゃないの？』

『……私は、このままでも、』

「それ、本気で言ってる？」

薄暗い部屋の中。
硝子の目と、はっきり目が合った。

それに向き合うのも言われるのも初めてで。
私は硝子の目をみて固まったままだった。