検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:13,683 hit

15 第3章-三日月の涙- ページ16

.







.





その日、二年生4人はそれぞれ別の任務に当たっていた。任務が終わり次第Aと合流することになっていた夏油から、1級の任務に派遣されたはずのAが特級呪霊の出現により危険な状態だと連絡を受け、五条が現場に着いた時にはAは既に虫の息だった。



仰向けで横になっているAの頭には、
夏油のものと思われる制服のジャケットが畳んで敷かれている。




「……A」




当の夏油は気を使ってくれたのか、五条が到着するなりその場を離れてしまった。

月は雲で隠れており、辺りは暗い。
Aの傍へ寄りしゃがみ込むと、紺色の制服の脇腹が黒く染まっているのがわかった。
制服を濡らしいてるそれは、地面にも大きな染みを作り傷の深さを思わせた。



「A」



もう一度名前を呼ぶと、
うっすらと瞼を押し上げたA。



『……さ、とる』



小さく息を吸った後、
普段より何倍もか細い声で自分の名前を呼ばれた。
Aの上半身を起こし抱える。



「早く高専戻るぞ。硝子が戻ってくれば」



膝の裏に腕を回して小さな身体を持ち上げようとしたところで、Aの手が五条の制服を引いて動きを制した。



『いいの……もう、間に合わない』

「そんなの分かんねェだろ」

『…わかるよ……自分の、ことだから』

「……ふざけんなよ」



反転術式が他人に使えない自分をこれほど憎んだことはない。何も出来ない不甲斐なさに拳を強く握り締める。



『怒らないでよ…』



悔しそうな顔をした五条を見上げ、
Aは力なく笑いを零した。





.

16→←14 -記録-



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
72人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

yumenushihashoko(プロフ) - 早く続きが読みたいです(^^) (2022年5月7日 15時) (レス) @page21 id: f956c23c96 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - この題名は、、東方、、 (2021年7月30日 22時) (レス) id: 0e4ab80c46 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あんパん | 作成日時:2021年7月1日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。