【呪術廻戦】讃美歌

39話 ページ41

「ばかとは何ですかばかとは。
優しいやさしい
Aちゃんのお世話になっておいて」

「……頼んでねぇし」

「だから
恩きせがましくしなかったじゃないですか。
別に見返り求めた訳じゃないですし。」

「何しに行ってた」

「バーバ･ヤーガを始めとする魔女のお祓いに」

「………………」

なんでそんな顔してるんですか。

口元だけが微妙に歪んでいる。

目が見えないからよく分からない。
そう思って趣味の悪い目隠しに手を伸ばす。

「っ、」

彼は慌てて抑えるけどもう遅い。
思い切り目隠しをずり下げれば、
始めてみるほど不安に揺れた青色があった。

「一言、いえよ」

「言うなとのお達しでしたので」

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ずるりと下げられた目隠しのおかげで、
ハッキリと催馬楽の顔が見えるようになる。
こっちの気持ちとかお構い無しに、
いつも通りの顔で笑う彼女に
少し心が楽になる。

バーバ･ヤーガなんて、
こっちじゃ普通におとぎ話で語られるような災厄。

行かせたかったのは上層部なんで。

それだけで何となく、
本当は僕に来た依頼か。と思った。

認めてないわけじゃない。
むしろ認めてる。
でも、死ぬかもしれない。
それは僕も彼女も変わらない。

自分の知らないところで、
大事な人が死ぬかもしれなかった。

それも知らずに当然の顔をして怒ってた。

彼女は全部知っていてなおこうなのだろうか。

……あぁ、そんな。

くだらない理論だとか感情を捏ね回しても。

そんなことをしても。

また繰り返すだけ。

変に背負わせて。
真意も知らないのに怒って。
勝手なことして。

「……ごめん」

彼女は、許してくれるのだろうか。
返事を聞くのも、
その言葉を口にするのも、
酷く怖く感じられた。

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