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25話 ページ27

「か、え、れ」

「菓子折り持って来いって言ったじゃん」

「学校でいいでしょう」

「うちにって言ったよ?」

「………………まずあんたが
買ってくるとは思っても見ませんでしたよ」

えー酷いなぁとドアの向こうでほざく五条さんに、
私ははぁとため息をついた。

今日ばかりは五条悟に会いたくなかった。

「っう、」

日に日に増す心臓の痛み。
心做しか頭も痛み出し始め、
そろそろ本気で病院を考えている。

この人は変なとこで目ざといし、
変なところで気にしぃなので、
バレたらまた面倒くさいことになる。

「早く開けてよ」

「帰ってください」

「いやだ」

……かれこれ5分ほどこうした問答が続いている。
もうなるようになれと、
私は諦めて扉を開けた。

「どうせ開けるんだからもっと早く開けてよ」

「いや開ける気は毛ほどもなかったんですけど……
なんかしつこい男がいて」

そこのソファーにでも、
と私が言う前にドサッと
体をソファーに預けた五条さんは、

「ん」

と有名ブランドのチョコレートの箱を手渡してきた。

「……これあなたが好きなやつでは?」

「家に呼んだってことはあれでしょ?
良かったら一緒に食べませんか?って言うやつ」

「………………ったく」

変に甘党のこの男。
ついでに酒は飲めない。

顔はかっこいいのに、
変なところで可愛い人なんだよなぁ
と私はマグカップにコーヒーを注ぎながら思う。

ギャップ萌えはその辺の女子と同様に大好きだけど、
五条悟にギャップ萌えしたことは無い。
だって性格があれだし。

「僕砂糖」

「角砂糖3つにミルクふたつでしたっけ」

「……うん」

なんだ妙にしおらしいな、
と思えば背後に気配。

「なんですか?
手伝いに来るほどあなた殊勝じゃないでしょ」

「ねぇ、本当はどこに行ってたの?」

「……………………はぁ」

喋り方も変わったし
ちょっとは変わったのかと期待して言ってみれば。

「あなたしつこいってよく言われません?」

「催馬楽にしかこんなことしないよ」

「あなたに言われるとひとつもときめけませんね」

ほら。とカップを渡すと、
素直に受け取って運ぶ五条さん。

私がソファーの向かいのクッションに
腰を下ろした時には、
既にチョコレートはいくつか無かった。

「何勝手に食べてんですか」

「美味しかったよ」

「……好きなだけどうぞ」

もう早く食べて帰って欲しい。
痛いのだ、とにかく。
息するのすら辞めたい。
肺の収縮ですら激痛。
話してたくなんか、ない。

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ワイヤー女 - 新さん» ありがとうございます!!とても励みになります!これからも是非ともよろしくお願い致します! (2020年5月25日 16時) (レス) id: cedc192f36 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めっちゃ好きです!!全てが好きです!!更新頑張れぇぇぇぇぇ!!!!! (2020年5月25日 13時) (レス) id: e596ede8e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年5月23日 18時

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