ポケモンに愛される美しき少女【歌い手×ポケモン】

39話 ページ43

No side
とある海にある崖。

そこには1体のポケモンと1人の少女が居た。

少女の体は、日が沈めば沈むほど青白く光る。

日が完全に沈む少し前、少女はある言葉を空に向かって言い、深く息を吸う。

少女は、頬に透明な雫を溢しながら、鈴のような綺麗な声を、歌に乗せて空へ響かせる。

それは何処か悲しみに満ちていて、嘆いているような、謝っているような響きを纏っていた。

歌を歌い終える時には、少女は人の姿ではなかった。

人の姿の時とは変わらない、長い白い髪。
変わっていたのは、目の色と見た目だった。
薄い水色だった目は、深い緑色に変わり。
見た目は、人型ではあるものの、背中に妖精のような羽が生え、耳がとがっていた。

少女＿＿＿＿＿否、フリージア＿＿＿＿＿は月を振り返り、睨み付ける。

次は、前とうって変わり、怒りに満ちた歌声で歌を歌う。

すると、フリージアの髪色に変化が起きた。

だんだん、赤くなっていく。
それは歌が進むにつれ、濃くなる。

フリージアの歌声に誘われたのか、ポケモンたちが寄ってくる。

それに気付くと、歌うのを辞め、その場に座った。

フリージアは、悲しそうな目をして、1体1体にキスをしていく。

1言、言葉を添えて…。









.









.









.









.









.









夢主side
何で僕をこの世に落としたんだ。

何であの人たちに会わせたんだ。

何であの人に特別な感情を抱かせたんだ。

月に向けて、歌に怒りを乗せ、感情をぶつける。

『！』

ある時、ポケモン達が集まっている事に気付いた。

僕の声に寄ってきてしまったみたい。

笑顔を繕い、ポケモンを怯えさせないようにする。

すると、あるフシギダネが僕に擦り寄ってきた。

あの人に似ていて、クスリと笑う。
すると、皆が擦り寄ってきた。

『！』

慰め、られてる…？

もう…。

chu

フシギダネを抱き上げ、一つキスをする。

『僕みたいに、なっちゃ駄目だよ。』

そう言って、フシギダネを降ろす。
皆にもキスをして、同じことを言う。

皆笑顔で、僕も嬉しくなる。

すると、上から網が落ちてくる。

『！』

僕は、どうする事も出来ず、網によって覆われ、上に引き上げられる。

『あ…。』

それに、皆も巻き込まれていて。

『あ、あぁ…、あぁぁぁぁぁぁ！！！』

怯えた皆の顔、震えている皆の体。
それを見て僕は、

コワレテしまった。

40話→←38話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す