8 ページ10
医務室の留守というのはただ入り口に立っていればいいわけではない。
室内で待機し 怪我人や病人がいたり運ばれたりしてきたら唯桜の代わりに手当てを施すのが仕事だ。
三成は医務室に入ると、布団で眠る見掛けない人間に顔をしかめたがここにいるのは唯桜が許したらからで それ以上特に何もなく入り口付近に正座した。
見掛けからして新しい女中だろうか、それにしても軟弱なと思いつつすぐに興味は逸れた。
時折鳥の鳴き声が聞こえるのどかな時間。どれくらい時間が経ったから知らないが聞こえてきた咳に視線を唯一敷かれている布団にやった。
「…おい、どうした」
問い掛けに応える意味ある言葉はなく、ひたすら咳き込む。
傷の手当てこそ出来るが薬の処方なんて微塵も知らない。ゆえに霸桜の咳を止める手段はない。
「三成君、留守をありがとうね。その子はどうしたんだい?」
「急に咳き込み始めました」
尋ねながらもてきぱきと薬を用意する唯桜はさすがとしか言いようがない。
軽々と霸桜を助け起こすと水に溶いた薬を飲ませた。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クヴァール&くろのちか x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年6月27日 20時