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「やあ呉服屋殿。ここは医務室だよ、倒れたのは覚えているかい?」


「たお、れ」


まさか城で倒れてしまったことを察した霸桜はおおいに焦ったが 思うように入らない力に若干諦めを覚えた。


あまり体調の良くなかった日に人混みに揉まれた程度でこれである。


「申し訳、ございませ……」


「いいんだよ 誰も怒っちゃいないんだから。それより動けなさそうだね、ついでだ 治るまでいなよ」


秀吉様には言っておくから、と唯桜は言ったが霸桜はそうもいかない。


やらねばならない仕事だってあるし 何より自分ごときが体調不良とはいえ城で寝込むなど。


体を叱咤して起き上がる。ぐらぐら揺れる感覚が最悪だ。


「あっこら、無理したらいけないよ」


「平気でございます……後日、改めて謝罪に参りますと、どうか秀吉様へ」


「無理したらいけないって言ってるだろう」


情け容赦ないデコピンをくらって再び布団に身を沈ませる。そこで初めて霸桜は声の主を見た。


緩く波打つ白銀の髪に自分とは違う色合いの紫の双眸。


気づけば ぼうっと見つめていた。


「君が庶民だろうが商人だろうが何だろうが関係ないんだよ 治るまでいること、いいね」


「しかし……」


「ああもう、君が女だからって誰も何も言わないから!」


「…あの……男です……」

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作者名:クヴァール&くろのちか x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年6月27日 20時

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