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「ただ私の体液は猛毒だからね。私が怪我をしてる時は不用意に近付いたりしないように」
「わ、わかったっす」
傷口に唯桜の体液、例えば血液などが垂れてしまえば助かる者も助からなくなる。
たった1滴でも。彼女はそれほどまでに強力な毒であった。
「私を娶る殿方は不運だよ、口吸いも出来なければ子孫も残せやしない」
「それ以前に半兵衛様が許さないと思いますけどね」
わかりやすく言えば“「うちの妹は嫁にはやらない」レベルのシスコン”だろうか。
なかなか厳しい性格の半兵衛だったが実妹の唯桜にはどうにも甘い。
「左近様、付き添いをありがとうございました」
「いやいや途中でいなくなっちまって悪かった!にしてもそんな細い身体でよく秀吉様と向かい合って平気なのな、俺ならちびっちまうぜ」
「秀吉様は威厳がおありで「きゅーーーう!!」
「呉服屋殿ー!!?」
ドゴッ、とも ゴスッ、とも聞こえる鈍い音を立てて霸桜が紫毒姫に跳ね飛ばされる。
紫毒姫には珍しく唯桜以外へのじゃれ合いだがそれどころではない。植え込みに当たって地面に伏した彼はピクリともしないのだから。
「呉服屋殿、聞こえるかい!?呉服屋殿!!」
「………もうしわけ………ございませ」
「い、医者を!」←
「アンタだよ唯桜様!!」←
茶番をしている場合ではない。
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作者名:クヴァール&くろのちか x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年6月27日 20時