風味絶佳 (ページ36)

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気持ち程度にいれたコーヒーを飲み終わったジフンさんは、何をするわけでもなく、ただずっと座って、私の手を弄んでいる。
明日、というか、今日がまたやってくるから、とジフンさんに早く帰った方がいいのでは、と告げると、そうだな、と立ち上がる。

ほんの少し寂しい気持ちが心を巡って、じゃあ、また、とドアを開けようとする手を躊躇する。なあ、と、上から降ってきたジフンさんの声。

「ソラ、俺と付き合おう。」

愛おしい人からの思っても見ない告白に、呆然と立ち尽くす。

「もしかして、気づいてなかった？俺の気持ち。」

こくり、と一度頷いた私を見て、まじかよ、とジフンさんが呆れたように笑う。

「知ってると思うけど、俺、アイドルだから。外でデートもできないし、多分、ずっと我慢させると思う。」

また、こくり、と私が頷いたのを見て、
でもさ、とジフンさんが続ける。

「今も、これからも、ずっと、帰った時にソラのごはんと笑顔があれば、俺、それだけで幸せなんだ。」

私も幸せですよ、と微かに返事をした私へ、ジフンさんが抱きしめて、囁いてくれる。

「…‥大切にするから。」

私の唇に優しく、愛を落とすジフンさんに、少しだけ手をあげて、呟く。

「………オッパ、おかわりください、」

「当たり前。」