差異(岸辺露伴) ページ5
「露伴って漫画家よね」
そういえば、と長い間忘れていたかのように声を上げたわたしに露伴はため息をついた。僕がそれ以外のどの職業に就いてると思ってるんだ？ こちらを見る目がそう語っていた。
「まー見るからに漫画家って感じなんだけど……たまに忘れがちなのよ、どうしてかなあ？」
「そんなの僕が知るかよ。ところでキミは何をしにきたんだ？ ……僕の知る限り、キミはそこまで僕と親しくはなかった筈だよねェ〜」
嫌みたらしく告げる露伴は相変わらずだった。捻くれにも限度があるでしょうに。どうすればこんな捻くれた性格になってしまうものなんだろうと思いながらわたしはそれに返事を返した。
「トモダチに頼まれたのよ」
「何をだ？」
「露伴のサイン」
直後、わたしの手に握られていた真っ白な色紙には『ピンクダークの少年』の主人公の姿が描かれていた。早業というか神業というか、ともかく超スピードのそれにわたしは目を丸くした。
そして原稿を尋常じゃあない速度で仕上げていく露伴にわたしは思わず笑みを浮かべる。
「＿＿あ、わかった。露伴って漫画家というより芸術家よね！」
「…………ハア？ 漫画家はイコール芸術家だろ。キミは何を言ってるんだ？」
彼にとっては、当たり前のことをさも新発見かのように言われたに過ぎないのだろう。不愉快そうに鼻を鳴らすとまた原稿の執筆作業に戻ってしまう。
そういうところが、わたしが捻くれ者の岸辺露伴という一人の人間を嫌いになれず、かつ憎めない理由なのかもしれない。
漫画なんてものは現代には山のようにあるというのに、それでも露伴の画に惹かれる人間が多いのは何故なのか……そのほんの答えをわたしはたった今垣間見た。
芸術にいつでもどこでも真剣に向き合う露伴という人間は誰よりも芸術家らしい。ただ中身のない漫画を描く普通の『漫画家』ではなく、漫画によって世界を表現する『芸術家』。
直筆のサインを両腕で抱えると、わたしは露伴にお礼を言う。ありがとう露伴『センセ』、と言えば彼はくるりと振り向き、それからニヤリと口角を上げて見せた。
「今度ピンクダークの少年全部図書館で借りて読んでくるわ。その時は感想言ってもいい？」
「……＿＿＿＿馬鹿だなァ、僕ん家で読めば良いじゃあないか。それが一番手っ取り早いぜ」
「確かに。じゃあー書斎借りるねセンセ」
「ああ、読み終えたら感想を聞かせてくれよ！ せっかくだ、参考程度にはしておいてやるから」
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とある決闘者(プロフ) - リルスさん» 感想ありがとうございます。キュンキュンしてくださっただなんて……その言葉だけでとても頑張れます。改めてありがとうございます！ (2017年12月12日 21時) (
レス) id: c74a5c30fb (このIDを非表示/違反報告)
リルス(プロフ) - この作品を見て、久しぶりにジョナサンとディオ様にキュンキュンきた…！更新がんばって下さい！ (2017年12月12日 21時) (携帯から) (レス) id: 5254e9f568 (このIDを非表示/違反報告)
とある決闘者(プロフ) - おバカな傀夢さん» 傀夢さんありがとうございます！ いつもあなた様のコメントに励まされています。是非是非お楽しみください！ (2017年12月11日 22時) (レス) id: c74a5c30fb (このIDを非表示/違反報告)
おバカな傀夢(プロフ) - とある決闘者様の作品はどれも好きなので、この短編集も楽しみに更新を待ちます！更新頑張ってください！応援してます！他の作品も楽しみです！！ (2017年12月11日 17時) (レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とある決闘者 | 作成日時：2017年12月10日 22時
