まふに色んなことしてみた！【短編集】

嫉妬させてみた ページ4

まふって、すぐ嫉妬するイメージあるんだけど…。




「全然しないんだよね…」




私が天月すんと1時間電話してても、何も言わないし。




…あ、分かった。天月すんじゃない人にすれば良いのか！




「……あ、そらるさんですかー？」




『そらるさんだけどー』




おぉ、試しに電話してみたらすぐ出た。




これは…まふが居るリビングに移動しながら話すべきだな。




「今、まふを嫉妬させたくて電話してるんですけどね？」




『ふはっ、何それ。そんなことされると、俺がまふに怒られちゃう』




「またまたー、何言ってるんですか。何もありませんよ」




失敗に終わるだろうからそう言うと、そらるさんは少し黙った。




そして、少し声を潜めて呟く。




『近くにまふは居るの？』




「あと数メートルで出現しますね」




私はそう言って、まふが居るリビングの扉を開いた。




まふはこっちを見たが、電話中なのが分かったらしく、目をそらす。




『じゃあ、まふに怒られる覚悟で言うね』




そらるさんはすぅっと、大きく息を吸って大きめの声で言った。




『まふのものだって分かってる。…でも、まふじゃなくて俺と付き合わない？』




「えっ！？ちょ、ちょっと、そらるさん？」




そらるさんの声は大きくて、きっとまふにも聞こえてしまっただろう。




恐る恐るまふの方を見ると、まふは何とも言えない顔をして固まっていた。




「え、えと…そらるさん、あの…」




『じゃーね』




「ちょっと！？」




そらるさんが一方的に電話を切ると、まふが静かに近付いてくる。




あ…あれ？もしかして、怒ってらっしゃる？




そんなことを考えていると、手首を強く掴まれた。




「…ねぇ、今の…そらるさんだよね？なんで断らなかったのかな？」




「え？えっと…」




いつもより、声が鋭い…。本気で、怒ってる？




「そらるさんもわかってるじゃん。Aは俺のもの。…当たり前だよね？彼氏だもんね？」




俺…って、言ってる。駄目だ、これは相当怒ってるな…。




「ち、違うの…これは、まふに嫉妬してもらいたくて…！」




「嫉妬…ねぇ」




まふはそう小さく呟くと、私の腕を引いて抱き締めてきた。




「いつだって、してるよ。…Aが僕じゃない人と話してるときね…」




「その人のこと、ちょっと嫌いになっちゃうもん」




____今日、初めてまふの「雄」らしいところを見た。

狸寝入りしてみた→←「好きだよ」って言ってみた

ラッキー歌い手

志麻

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す