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第九幕 ページ10

「先日貴国に刺客を放った輩が、皇帝陛下の暗殺を未だに諦めていないからなのでございましょう?そのために、私達のように商隊などと違い、締め出しても何の経済的不利益を被らないものは全て入国を制限しておられる」

「そうだ。貴様等舞踏団が賊供に端金で雇われた密偵でも、刺客でも無いと断言できる、確かな証拠でもあるのか?
あるのならば、今すぐ俺の前に出してみせろ。俺は公演の話など、一切聞いていない」


紅炎皇子が射る様に鋭い眼光を、まるで私を視線で押し潰そうとでもいうように向けてくる。だが、ここで引くわけにはいかない。紅炎皇子の言葉は、私が大恩ある舞踏団への侮辱に値する。舞踏団の本質に勘付いているならば、さらに刺客の送り主にあたりがついているのなら、それは尚のこと。
私は彼の視線を怯むことなく真っ向から受けとめ、紅の双眸を正面から見据えて口を開いた。


「確かに、紅炎様までもご存知ないとすれば、私達に依頼を出したのは貴国ではなく、その刺客を放った国が私達を囮か何かにしようと出したのかもしれません。それどころか、私達自身が雇われの刺客の可能性もあるでしょう。私達舞踏団が密偵でも刺客ではないという証拠?そんなもの一つもありません。
ですが。
密偵ごときに金で雇われるほど、我ら舞踏団は安くありません。あまりに私達を軽んじることはおやめください」

「ほう……」


言い切った私の両眼は、きっと睨むような眼をしていただろう。口元など、意識もせず挑むような弧を描いていたかもしれない。よく考えてみなくても解る、どう考えても皇族に向けるには無礼な態度をとっていると。
侮らせたままでいられるかという心が、つい表に出てしまった結果がこれ。もしこれで不敬だと追い出されでもしてしまえば、その時点でお終いだ。

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春波(プロフ) - 有紗さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年4月6日 12時) (レス) id: 1a8017367a (このIDを非表示/違反報告)
有紗 - めっちゃ続ききになります!更新がんばってください!! (2017年4月6日 0時) (レス) id: 29b6726ff9 (このIDを非表示/違反報告)
春波(プロフ) - アンジュさん» コメントありがとうございます。緑の黒髪とは髪の色が緑がかった黒だということではなく、艶やかな黒髪やみずみずしい黒髪という意味です。紛らわしい表現ですみませんでした。 (2014年12月25日 16時) (レス) id: 265852f7c9 (このIDを非表示/違反報告)
アンジュ - 緑の黒髪ではなく緑がかった黒髪の方が正しいのでは?緑がかった黒髪の方が読んでいる人もどんな色か想像しやすいかと。 (2014年12月25日 8時) (レス) id: 5ec94a4f4a (このIDを非表示/違反報告)
春波(プロフ) - リオンさん» コメントありがとうございます。すみません、名前変換はできるようにしていません… (2014年4月9日 17時) (レス) id: afd2fc571a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春波 | 作成日時:2014年1月14日 22時

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