検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:67,037 hit

第四幕 ページ5

「すみません」


装飾が施された立派な門の前へ立ち、門番の一人に声をかける。


「何だ」


いかにも怪しい奴を見る目で見られる。当然の事ではあるが良い気はしない。まあ、この時期に唐突に城に来た不審者への対応なら、問答無用で追い返さずに話を聞いてくれるだけマシかもしれないけれど。
しかしこんな下っ端門番に用件を話しても、上層部でさえ一部しか知らない公演のことを知るわけがないし、サプライズ出演をバラしてしまうのも良くないだろう。故に。


「唐突で申し訳ないのですが、皇子殿下か姫様のどなたかに会わせてはいただけませんか?」


途端、目と鼻の先で槍の切っ先がギラリと光る。サプライズを潰さない為に理由を省いて、端的に用件だけを述べた私に対して、門番達が一斉に取り囲み槍を向けるという至極当然の反応をしたからだ。


「怪しい奴め。名乗れ、貴様は何者だ!」

「いきなり殿下や姫君に合わせろとは無礼だと思わないのか?」

「申し遅れました。
私は風花女流舞踏歌劇団の“夜桜”と申します。
我ら一座の入国並びに煌帝国での公演を許可していただきたくやって参りました」


慌てる事なくそう言い、私が一座のマークである翼の生えた砂時計が描かれた団員証を見せると、門番達は目に見えて動揺した。


「な、風花舞踏団だと!?」

「お、おい本物か!?この団員証!」

「あの世界一と名高い舞踏団が、何でこんな時期に!?」

「現在我ら一座は旅人の入国規制のため、煌帝国へ入国出来ずにいます。
どうか皇子殿下か姫君様のどなたかに取り次いではいただけないでしょうか?」


動揺につけ込むようにしてもう一押ししてみると、冷静さを失った門番の一人が自分達では対処に困ると判断し、どうするべきか上官に尋ねに門の中へ急いで入っていった。
私達、風花舞踏団は世界一とまで言われる有名な舞踏団で、平時に煌帝国を訪れていたならば大歓声に迎えられ、即座に公演許可が許可が下りていたはず。それを無下に追い返すのはきっと躊躇うこのなのだろう。


「おい、どうだった?」


上官へ指示を尋ねに行った門番が戻って来た。
よほど急いで来たのか大きく肩で息をしている。


「とりあえず客人として通す事になった。
風花舞踏団の者が来たと伝えはするが、会うかどうかは皇子殿下が決める。
会えるかどうかの保証出来ないそうだ」

「わかりました」



さあ、皇族には会えるだろうか……?

第五幕→←第三幕



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (49 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
58人がお気に入り
設定タグ:マギ , ジュダル , 煌帝国
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

春波(プロフ) - 有紗さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年4月6日 12時) (レス) id: 1a8017367a (このIDを非表示/違反報告)
有紗 - めっちゃ続ききになります!更新がんばってください!! (2017年4月6日 0時) (レス) id: 29b6726ff9 (このIDを非表示/違反報告)
春波(プロフ) - アンジュさん» コメントありがとうございます。緑の黒髪とは髪の色が緑がかった黒だということではなく、艶やかな黒髪やみずみずしい黒髪という意味です。紛らわしい表現ですみませんでした。 (2014年12月25日 16時) (レス) id: 265852f7c9 (このIDを非表示/違反報告)
アンジュ - 緑の黒髪ではなく緑がかった黒髪の方が正しいのでは?緑がかった黒髪の方が読んでいる人もどんな色か想像しやすいかと。 (2014年12月25日 8時) (レス) id: 5ec94a4f4a (このIDを非表示/違反報告)
春波(プロフ) - リオンさん» コメントありがとうございます。すみません、名前変換はできるようにしていません… (2014年4月9日 17時) (レス) id: afd2fc571a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:春波 | 作成日時:2014年1月14日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。