【WT】ボーダー隊員休憩所 １杯目【迅悠一】

ふわふわイケメン ページ13

今日も変わらず仕事に励みつつ、余りに普通の仕事と逸している数日を振り返る。

嵐山さんに、出水さん、米屋さん、緑川くん。

皆さん素敵な人だったなぁ…と思い出を巡らせながらテーブル席を整えていると、小気味よい音が新たな来訪を告げた。


「いらっしゃいませ〜お好きなお席へどうぞ」


振り返り微笑んだ頬は、引きつりそうになって。


「…ここ、いいっすか」



「はい、どうぞ」


柔らかそうな髪を無造作に下ろした長身な男性が、カウンターを指さす。

営業スマイルは維持したものの、思ってもみなかったご来訪で一気に心臓が過重労働を強いられた。きっと確か、と曖昧な記憶を呼び起こしながら振りまき続けるラッキーにいよいよ末恐ろしさまで感じる。


このまま悶々と終わるわけにもいかず、ここまで来たらとことん輪を広げてしまおうとどこか吹っ切れた私は、いよいよ声をかけた。


「人違いでしたら申し訳ないのですが。もしかして、烏丸京介さん、ですか？」


「そう、っすね。よくわかりましたね。……あぁ、もしかして貴方がAさん？ですか?」


メニュー表を握りしめおずおずと聞いてみると、少し驚いた様に目を見開いた烏丸さん。


納得と言いたげな顔で頷く彼は眩しい程に顔が良い。


昨日までの幸運に肖って失礼すぎただろうか、と既に後悔したものの後に引けない為、お会いできて光栄ですと改めて自己紹介をする。



「いつもお疲れ様です。折角のお休みに詮索してしまいすみません。ご注文お決まりになりましたらお呼び下さいね」


気にしなくていいっすよ。と表情の変わりづらい中でも言葉尻の優しさに心臓を撃ち抜かれそうになりつつ頭を下げカウンターへ戻る。


名前を呼んでくださったり、従業員に対しても驚くほど丁寧な応対をしてくださる事に幸せを噛みしめつつ、オーダーのエスプレッソをこなすべくカップを手にした。

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