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「お待たせいたしました。」
「…ありがとうございます」
カウンターは長めに設置してあるのだが、私がおのずと作業の関係上長い時間立っている目の前へと座る確率が異様に高い。
裏で何か面白いものが見れる等と思われているのではなかろうか。と一人でに恐怖を覚えつつ、確かにこれだけ緊張していれば知らぬ間に挙動がおかしいかもしれない。と後悔を始めていれば、カップを置いた烏丸さんは口を開く。
「…今まで、誰が来たんすか?」
「迅さん、嵐山さん、緑川くん、出水さん、米屋さん…ですね」
指折り数える私に、ほぅ。と少し驚いた様に瞳が揺れる彼は、低く優しい声を紡ぐ。
「…なるほど。これからまだまだ増えると思うっすよ」
「っ、本当ですか…?光栄です」
「迅さんが、会う人会う人ここを進めてるんですよ。ボーダーがその噂でもちきりです。」
思いもよらぬ返答に目を丸くする私に告げる彼。
ボーダーの皆さんが足を運んでくれる事は勿論、迅さんがその手助けをしてくれている事に何とも言えない幸せな気持ちが広がる。
店長の美味しい食事やデザート、コーヒーが誰かに広まって笑顔になってくれるというのは嬉しい以外の何物でもない。
思わず顔をほころばせていると、少し頬を緩めた烏丸さんが口を開く。
「…美味しい店で、凄く可愛くていい子がいるから皆行ってみて、だそうですよ」
「…っえ!?…そ、れを、迅さん…が…?」
変わらず澄ましたお顔のままだが、ほんの少しからかいを含んだ声に返事が上ずってしまう。
その言葉を理解すると共に、一気に体中に熱を持つ感覚と早くなる鼓動。思わず忘れないようにと心の中で反芻してしまった。
「そうっすね。俺も紹介された一人です。…来て、よかったっす」
恐れ多いと笑う私に、そんな事ないですよ。とどこまでも優しい烏丸さんの会計を済ませる。
「何だかこちらが幸せを頂いてしまいました、ありがとうございます」
「こちらこそ。美味しかったです。また玉狛がお邪魔すると思うんで、その時はよろしくお願いします」
真摯に頭を下げる彼の瞳からも仲間思いな優しさが伝わり、玉狛支部の方達は余程信頼し合っているんだろうな、と少し微笑ましく思った。
「楽しみにお待ちしております、ありがとうございました。」
またお越しください。とお見送りをし姿が見えなくなってから踵を返す。
片付ける間も何だか夢見心地で、私ってば素敵な出会いを重ねすぎではなかろうか。
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ぐりーん@Umi(プロフ) - 黒崎ソラさん» ありがとうございます!頑張らせて頂きます〜! (2016年9月14日 7時) (レス) id: 969dfe5434 (このIDを非表示/違反報告)
黒崎ソラ - 面白かったです!更新頑張ってください! (2016年9月12日 4時) (レス) id: b15a705d85 (このIDを非表示/違反報告)
ぐりーん@Umi(プロフ) - 蜜柑雨さん» わぁぁお褒めの言葉ありがとうございます!!更新頑張らせて頂きます♪ (2016年9月11日 11時) (レス) id: 969dfe5434 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑雨(プロフ) - とっても面白買ったです!!ほのぼの感が最高です!更新楽しみにしてます! (2016年9月11日 1時) (レス) id: 94c773db22 (このIDを非表示/違反報告)
ぐりーん@Umi(プロフ) - setunaさん» わわ、勿体無いお言葉を!!嬉しい限りですありがとうございます(*´ω`*) 18歳組可愛いですよね!頑張らせて頂きます♪ (2016年9月10日 22時) (レス) id: 969dfe5434 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:み | 作成日時:2016年8月17日 15時