【WT】ボーダー隊員休憩所 １杯目【迅悠一】

いいこと、ありそうで。 ページ2

「…もったいないな」



頬を撫でる風に、大人しく瞳を閉じる。柔い風は俺の存在など知らないように、通りさっていった。


せっかく早く事が片付いたというのだから、このままどこか静かな場所にひとり赴きたい気さえする。


容赦なく照り付ける日差しも、冷たい風のおかげがトリオン体のおかげか別段不快感は無い。
さくさくと知らぬ道を進んでいれば、またごく小さい事に勘付く。

　

少し先の俺は、気分がよろしいようで。





任務も済み、暗躍もかねて街をふらふらと歩いていた。未だに見慣れないわき道もあるものだ、とふと目を奪われ立ち止まる。




もう少し歩けば玉狛支部へ到着…と、粗方近所だったのだが、普段通る道では無かった為記憶になかった一角。

立ち止まった俺はその要因を見上げ、少し口角を上げた。


当然歩みを止めた足は方向を変え再び動き出す。



「たまにはこういう所も入ってみたくなるじゃん？」



再び誰に聞かれることもなく呟きアンティーク調のドアを押す。

鉄製のドアノブを押した手のひらにじんわりと冷たい感触が伝い、そっと力を籠めた。


その選択は、どうやら間違ってはいなかったらしい。

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