Lupinus【呪術廻戦】

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仕事に言ったまま2週間帰って来なかったAが
怪我をして帰ってきたと津美紀に聞いた。

俺が学校で問題を起こして、
呼び出されて以来会っていなかった。
もう一月、Aの顔を見ていない。

俺が会いに行っても怪我を治せるわけじゃない。
何を話せばいいのか、どんな顔をすればいいのかも分からない。


それなのに津美紀の話を聞いた途端
気付けばAの家の前まで来てしまった。




インターホンを鳴らしても
出る気配はない。

帰るか悩んだが、
どうしても顔が見たくて
昔貰っていた鍵で中に入る。


昔は用もなく、当たり前のように毎日来ていたのに
最近はほとんど来ていない。






玄関のドアを開けると、
靴と荷物は置いてあったが
電気は付けずに真っ暗な部屋。

暗闇の中で
何一つ変わっていない見慣れた部屋を進む。
ドアが開いたままの寝室を覗くと
ベッドの中に人がいる気配があった。








「……。」








俺が近づいても気が付かないほど疲れ果てて眠るA。


そっと近づいて眠っている様子を確認する。
どんな怪我をしたのか聞いておけばよかった。
ここからじゃ何があったのか分からない。






『……っ、』

「………、」








もっと近くで顔を見ようと覗き込むと
突然目が開き布団の中が小さくビクッと動いた。

俺の顔を確認すると
気が抜けたように息を吐いてもう一度目を瞑る。

…。
しまった、
何を言うか決めてなかった。








『…びっくりした。恵か…、』

「…勝手に入ってごめん。」





『いいよそんなの。なんかあった？』

「…。」







起き上がろうとはせず
真っ暗な部屋で横になったまま話し始める。

少し寄ってスペースが空けられた
ベッドの脇に腰掛けるが言葉が出てこない。









『…もしかして津美紀から聞いたの？仕事で怪我したって。』


「……うん。」






『大丈夫だよ。治るまで暫く東京にいたけど、寝てたら平気。』


「………。」







『もう遅い時間なのに、わざわざ来てくれたんだ…。ごめんね。』


「…いや。俺が勝手に顔見たくなっただけだから、」









俺も何度か呪霊と戦ったことがあるから何となく分かる。
呪いと遭遇して、
普通に死ねたら御の字。
いつもAが平気な顔で帰って来られるのは、
当たり前のことじゃない。

もしかしたら、
あれが最期になっていたかもしれない。









「…A、ガキでごめん。」

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