【銀魂】先生と呼ばせてください (ページ29)

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先生と地球4 ページ29

｢よォ……随分傷の治りが悪いみてェで何よりだ｣

銀さんが不敵に笑った。

あの時銀さんが虚に結晶刀の破片を投げつけたのは、虚の視力を奪うためではなかった。あの破片を、虚の体内に取り込ませるためだったのだ。

長時間体内に留めることで不死者の再生能力を狂わせ、補給のできない状況で追い詰めるのが目的だった。

定春が命を燃やして作り出してくれた好機を逃すわけにはいかない。僕は定春に、まだ死なないでくれと必死に願いながら虚に向かっていった。

それは銀さんも神楽ちゃんも、先生も同じだった。

何度斬られても、蹴り飛ばされても、何度でも立ち上がった。そうすればいつか叶うと信じていた。

銀さんと虚が対峙するのが見えた。僕は加勢しようと身を起こした、その時だった。

｢……惜しかった。封じられた龍脈が、蘇ったようです｣

理解したくなかった。何が起きたかなど、その時の僕は考えたくもなかった。ただこの胸の何かを突き動かす感情に身を委ねているだけだった。

4人で一斉に剣を、足を、持てる力全てを使っても、届かなかった。

蘇った龍脈で、即座に傷を再生した先生が最初に立ち上がった。そして傷だらけの僕らを不安げに一瞥した。

｢彼らを助けますか。かつての私(しょうよう)のように｣

先生の動きが一瞬止まった。その一瞬で、虚の凶刃が先生に突き立てられた。

｢かつての私は、君に生きろと言ったそうですね。君はその言葉を守り、私の元へ戻ることなく生きた……いえ、責めているわけではありません。

君ならば分かるでしょう。終わらせなければならないものがあることくらい｣

先生は俯いたまま動かなかった。虚の刃が、少しずつ、少しずつ、先生の生命を斬り裂いていくのが分かった。

｢……ええ、分かりますよ。終わらせなければならないもの、私もあなたも、ここで終わるべきですから｣

先生が虚の刀を無理やり引き抜き、攻勢に転じた。

｢銀時！新八くん！神楽ちゃん！そして……定春くん！｣

先生が定春の名を叫ぶ時、僕らの魂も同じように叫んだ。定春と。

｢わん｣

聞こえて欲しかった返事が聞こえた。

定春は、肉体の大半を失いながらも、現世にその存在を留めていた。