その日、兼続殿は「義」を失いました。

始まり ページ22

全国の大名たちが、江戸の家康に呼ばれた。
上杉家もしかり。
家康の前に、各大名達が座る。そして、礼をした。

「何故、皆を呼んだのか、察しはつくな？」

皆が、肯定する。

「豊臣の事である。豊臣は、全国の浪人達を集め、戦の支度を行っていると聞いておる。わしは、このまま豊臣を存在させてしもうたら、世の中はまた乱世に戻ると考えておる。」

兼続は、ゴクリと唾を飲み込んだ。

「豊臣を滅ぼす」

兼続は静かに、瞳を閉じた。
景勝もまた、そんな兼続を見て瞳を閉じた。


ーーー

「真田幸村、今到着しました。」

幸村は、大阪城に入った。
そこには、秀頼、茶々、甲斐姫が居た。

「待って居たよ、幸村。君が来るのを楽しみにして居たんだ。」

秀頼が、ふんわりと言う。

「秀頼様、有難うございます。」

幸村は、秀頼に向かい礼をした。くのいちも、礼をした。

「野心高き家康なんかに、豊臣は…天下は譲れないわ…！！」

茶々が、幸村を見据えて言う。

「そうですね。天下は豊臣のもの。徳川には譲れませんね。」

真剣な眼差しで茶々の言葉を返した。

「幸村、お久しぶりです！…アンタも、久しぶりね。」

甲斐姫が元気に言う。

「本当にお久しぶりです！甲斐殿」

幸村は微笑を浮かべた。
くのいちは元気良く、「久しぶりだねぃ！」と笑顔で答えた。

城下町の様子や、大阪城の活気をみると、あの日の明るき温かい日々を思い出した。

ー豊臣の家を…守らなければ。

幸村は改めてそう思い、槍を握り締めた。

幸村と兼続が合間見えるのも、直ぐそこの話となった。

開戦直後→←悲しみの山ように高く、海のように深い。

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