52輪目 ページ6
「毎度大変だな、亜麻野。」
「もう慣れたよ…。」
そう言うと、赤司くんは苦笑した。
初めは反抗したが、何度言っても聞いてくれないので諦めたのだ。
ため息をついていると、
「ほら、ミケ。」と真ちゃんにデザートのプリンを渡される。
「いいの?」「俺は洋菓子は好かんのだよ。」
甘いものは好きなはずなのに…。彼の優しさを感じて嬉しくなると同時に、胸がきゅっと疼いた。ぼんやりとプリンを眺めていると、
「そういえば今日から2年が1軍に上がってくるらしい。始めたのはつい2週間ほど前らしいが。」と真ちゃんは話し始めた。
始めてから2週間で1軍に…。
「名前は何ていうの?」驚きながら尋ねる。
「黄瀬涼太。俺達以来のスピード昇格らしい。」
「あ、ソイツ知ってるわ。この前、会った。」
「どーでもいーし。」
青峰くんに対して、紫原くんは興味がなさそうだ。
すると、灰崎くんが後ろから腕を回しながら「あー、黄瀬涼太ね。」と話した。
「離してよ、灰崎くん。…けど、珍しいね。灰崎くんが人の名前を覚えるなんて。」
「あ〜。カンだけどな、ソイツ結構やりそうじゃん。…そんで、仲良くはなれなさそうだ。」
「灰崎くんが人と仲良くしないのはいつものことでしょ。」
「つれねぇなぁ。ミケちゃんとは仲良くしてんだろ?」
そう言いながら顔を寄せる彼を押しのける。
「はいはい。腕を離してね、お友達の灰崎くん。」
「ほんとにつれねぇなぁ。じゃ、またな。」
そのまま彼は去って行った。彼と話すと本当に疲れるが、虹村さんの言葉を思い出して我慢する。
すると、赤司くんが口を開いた。
「先程の黄瀬なんだが、黒子に教育係を、亜麻野にサポートをお願いしたいんだ。」
「私と黒子くん?」
「あぁ。2年生だが、入部してまだ2週間だからね。そうするよう、先輩からも指示があったんだ。」
「なるほどね。一緒に頑張ろうね、黒子くん。」
「はい。」
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年7月25日 21時