90輪目 ページ44
季節は8月の夏。遂に全中本戦が幕を開ける。
「それではこれより全国中学校バスケットボール大会を開催します。」
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「はー、お腹減った。早くおやつ食べたいー。」
「まだ開会式が終わっただけなのだよ。」
「ん?あれって…。」
開会式を終えて戻ろうとすると、多くの取材陣がこちらに来るのが分かった。
「インタビューよろしいですか?今年のチームの仕上がりは…」
「連覇に向けて一言お願いします。」
我先にとマイクやカメラを向ける取材陣。
「わわっ、オレ等もっスか?」
「まいったな、動けねー。…つか赤司すげーな。動じないどころかすべて模範解答で慣れたもんだ。」
「さすが赤司くんだね。」
ちらりと目を向けると、確かに堂々たる佇まいでインタビューを受ける赤司くんの姿があった。
相変わらずすごいなぁ。そうぼんやりと感心していると、マイクを持ったリポーターに声をかけられる。
「ん?君、小学生かな?ここは関係者以外立ち入り禁止だよ。」
「え…。」
ぽかんと固まってしまう。小学生って、私が?
「Aが小学生って…。まじかよ、ははっ。」
「青峰っち、笑ったらだめっスよ…ぷっ。」
「お前こそ笑ってんじゃねーか。」
しかし、後ろから聞こえる笑い声に現実に引き戻され、少しむっとなる。失礼な。
「…この2人が何でも答えてくれるそうです。」
「ミケっち!?」
「おいっ、何勝手なこと…」
すると途端に2人に詰め寄る取材陣。
「本当ですか!?」
「こっちにもインタビューお願いしまーす!」
「わっ、ちょっ。」
「おいっ、ミケ!」
もみくちゃにされる2人を後にして、皆から離れた場所でひと息つく。
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年7月25日 21時