検索窓
今日:49 hit、昨日:5 hit、合計:5,510 hit

81輪目 ページ35

「そっか。やっぱり灰崎は辞めちまったか。…じゃあ、しょうがねぇな。」
ドリンクを口にしながらそう話す青峰くん。

「しょうがねぇって…少し冷たくないですか?」
「別になんとも思ってないわけじゃねーよ。けどお前やミケが行ってだめだったんだろ?ならしょうがねぇとしか言えねーよ。」
「え…?」

困惑した様子の黒子くんに声をかけようとすると、真ちゃんが口を開いた。

「灰崎はプライドが高い奴だ。俺達や先輩が行ったところで逆効果にしかならなかったはずなのだよ。辞めるか辞めないかは本人次第だ。」

真ちゃんの言葉は正論だ。
けど、黒子くんの言いたいことも分かる。私だってできるなら辞めてなんてほしくなかった。

「ですが…」
「ったく…いつまでも甘いこと言ってんな。ウチは仲よしクラブじゃねーんだぞ。」
反論しようとした黒子くんを遮って虹村さんが厳しい言葉を口にする。

「お互いが仲間であると同時にお互いが競争相手だ。いつから人の心配できるほど偉くなったんだ。振り返ってるヒマがあんなら走れ!」
そう言うなり、彼は練習再開だと指示する。

「私も…灰崎くんにはバスケを続けてほしかったよ。」
「亜麻野さん…。」
ぽつりと彼にそう話す。

「だから、灰崎くんが羨ましがるくらいバスケを楽しもう。そうしたら、きっと…」
「きっと?」
「ううん、なんでもないよ。」
不思議そうにこちらを見る黒子くんに笑ってごまかす。

『きっと』、その先は言えなかった。

82輪目→←80輪目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
64人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年7月25日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。