76輪目 ページ30
「赤司っちとミケっちも焼きそば、どうっスか?嫌いじゃないっスよね。」
そう言ってトレーを渡す黄瀬くん。
「焼きそば嫌いなやつなんているのか?」
「青峰、それは偏見だ。」
不思議そうに話す彼を否定する赤司くん。
「じゃあ嫌いなのか?」
「嫌いではないが。」
「じゃあどうぞ。」
手渡されたトレーを眺める彼。
「…紅しょうがは苦手だ。」
「妙な好き嫌いすんなよ。」
「私も苦手かな。」
「ミケもか。なんか意外だな。」
あの独特の酸味というか味が苦手です…。
「真ちゃん、紅しょうがいる?」
「好き嫌いせず食べるのだよ。」
真ちゃんに押し付けようとするも一蹴される。
「なら俺が食べるっスよ。」
「本当?」「甘やかすな、黄瀬。」
黄瀬くんが優しく提案してくれるが、真ちゃんに見つかる。
真ちゃんはこういったことに厳しいもんなぁ。
「こっちの焼きそばは紅しょうが、入ってないですよ。」
「黒子くん、それください!」
「それを貰おうかな。」
ナイス、黒子くん!
そうやって騒いでいると、さつきちゃんが写真を撮ろうと提案する。
「いいっスね。俺、カメラ持ってるし。」
そう言って黄瀬くんがカメラをセットする。
カメラの前の並びでも騒ぐ皆。なんだか微笑ましくて、思わず笑ってしまう。
かしゃりと音が鳴った。一瞬が閉じ込められる音が。
そのときの写真は今でも宝物。
ずっと一緒だと信じて疑わなかった優しい日々を思い出させてくれるから。
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年7月25日 21時