68輪目 ページ22
そして迎えた学園祭当日。
私達のクラスはさっそくクレープを用意し始めていたんだけど、ここである事件が発生する。
「お願い!!もうクレープを作るのだけは勘弁して!」
と言ってさつきちゃんに頭を下げるやよいちゃん。その言葉にショックを受けた様子の彼女の横には真っ黒に焦げたクレープ生地の山。そう、さつきちゃんが焼いたものである。
「え、でも…」
「分かって!このままじゃ、お客にクレープを提供するまえにクレープ種が尽きて開店を待たずして閉店となるか、煤クズクレープを提供して開店と同時に開店休業となるかの2択になりかねない状況なの!」
怒涛の勢いで説得するやよいちゃんと、それに同意するクラスメイト達。
「たしかにこれは酷い有様だと思うけど、今日はクレープ作りに全てをかけるつもりだったから…。」
「代わりにウエイトレスはどうよ!?」
どうしてもクレープを焼きたそうなさつきちゃんにウエイトレスを勧めるやよいちゃん。
そしてやよいちゃんの提案に「それがいいよ!」と男子達が盛り上がる。可愛らしい彼女にウエイトレスの格好をしてほしいのだろう。思わず苦笑する。
しかし、ウエイトレスの洋服の予備がないこと等を理由に、遂に戦力外通告を受けてしまうさつきちゃん。
「さつき、よく聞いて。」
「うん。」
「あんたの仕事は作り手でもウエイトレスでもないわ!」
「え…まだ他に仕事があるの?」
「とりあえず、何もしないで!」
「え?」
「クラスのためにも今日はお店に近づかず、1人で遊んできて!」
「そ、そんな…」
クレープ作りを頑張ると息巻いていただけに、ショックを受けた様子のさつきちゃん。
「ミケも連れて行っていいから!」
「私!?」
突然呼ばれた名前に驚いて、生地を焦がしそうになった。
「それが唯一の仕事よ。ミケにはクレープ種やトッピングをほとんど用意してもらっちゃったし、ちょうどいいから休んできて。」
そう話すなり私達は教室から追い出されてしまった。
私も動物モチーフとかの可愛いクレープを作りたかったのに…。
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年7月25日 21時