65輪目 ページ19
暦は6月に入り、帝光中学校では学園祭が開催される。
そして、私達のクラスはクレープ屋さんをすることになったのだが…。
「聞いてよ!青峰くんったら酷いんだよ!」ふくれた表情で話すさつきちゃん。どうやら料理の下手さを指摘されたらしい。
ごめんね…それに関しては青峰くんに同意です。あのカレーを思い出して恐怖に震える。
「へー。クイズ研の出し物、今年は第2グラウンドがスタートなんだ。」とやよいちゃんが返事をする。
「そ、それだけ!?」
彼女の返答にさつきちゃん不服そうだ。
「ごめん、ごめん。だって犬も食わないようなケンカだし。」
「ケンカじゃないもん!青峰くんが酷いんだってば!」
あははと笑うやよいちゃんに頬をふくらませるさつきちゃん。見ていて可愛らしい光景だなぁと微笑む。
「ふふ。やよいちゃんはクイズ研の出し物に興味があるの?」
「まぁね。なんたって"あの噂"があるから。」
「"あの噂"?」
「クイズ研が学園祭でやるスタンプラリーって毎年ね、ペアでの参加が義務付けられてるの。でね…その大会に男女ペアで出場して優勝すると…そのペアは幸せなカップルになれるんだって。」
「そうなんだ。」「ふーん。」
へぇ、そんなジンクスがあるんだ。
しかし、彼女はさつきちゃんの反応が不満らしい。
「えぇ、何その反応!?女子の間じゃこの話題で持ちきりなのに!」
「だって私には関係ないもん。」
「なんで!?青峰くんと出場すればいいじゃない!」
さつきちゃんの肩を揺らしながら声を荒げるやよいちゃん。
「だから青峰くんとはそういうんじゃないから!それにそういうのは…。」
すると頬を赤らめるさつきちゃんが口ごもる。
「なになに?さつきには出場したい人がすでにいるわけ?」「い、いいじゃない、この話題は!だいたい、私はその大会には出場しないもの。クレープ作りに全てをかけているんだから!」
宣言するさつきちゃんに、不安を感じる。
食べられるクレープかな…。
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年7月25日 21時