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64輪目 ページ18

「もう、2人して。…けど、灰崎くんと黄瀬くんの仲の悪さは困ったものだよね。」
話を戻そうと最近の悩みを伝える。

「あぁ。それに2人のポジションは被っている。」
「灰崎か。そういえば今日も…。」
「サボりなのだよ、あの馬鹿は。」呆れたように話す真ちゃん。人事を尽くしていない彼が好ましくないのだろう。

「だが、残念ながら実力はある。腹立たしいが、灰崎がスタメンで黄瀬がその控えになるのではないか?」
「まだ灰崎くんの方が実力は高いもんね。」
真ちゃんの言葉に同意するが、赤司くんは違うらしい。

「いや、少し違うな。」
「え?」赤司くんの言葉に首をかしげる。

「すぐに黄瀬がスタメンになる。それも全中の予選の前には。黄瀬の成長速度と潜在能力は灰崎の比ではない。更に控えは虹村さんがコンバートされる。」
つらつらと並べられる言葉に呆然とした。

「灰崎の素行の悪さは目に余る。つい先日も他校の生徒に暴力沙汰を起こしたそうだ。加えてミケにとっても邪魔だ。…これ以上は部にとってデメリットしかない。」
淡々と話し続ける彼に背筋が寒くなる。

「もう用済みだ。退部を勧めよう。」

そう言い放つ彼の瞳は冷たい。以前の黒子くんの時にも見た眼だ。

いつもの温厚な彼とはまるで別人のようで…。
"赤司くん"が消えてしまうみたいで怖くなる。

「あ、赤司くん?」
「どうかしたかい、亜麻野?」
声をかけると、いつもの彼だった。

胸を撫で下ろしながら話題を変えようとする。

「う、ううん。なんでもない。それより、そろそろ文化祭だね。」
「そうだったね。亜麻野のクラスは何をするか決まっているのかい?」
「私達のクラスはクレープ屋さん。良かったら食べに来てね。」
「ふふ。楽しみにしておくよ。」
微笑みながら話す彼はいつも通りだ。しかし、真ちゃんを見ると彼も動揺していた。


"赤司くん"は"赤司くん"だよね。優しくて誠実な、大切な友人のままでいてくれるよね。

そんな不安を振り払うようにして足を進めた。

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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年7月25日 21時

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