61輪目 ページ15
あの騒動の後、私は非常に困惑するとともに疲弊していた。
原因は…
「あ、ミケっち〜!」
眩しい笑顔で駆け寄ってくる彼。そう、黄瀬くんです。
昨日までとは打って変わって、やけに好意的な態度の彼。困惑の原因はこれである。
そして、疲弊の原因は
「今日もちっこくて、かわいいっスね〜!」
「わっ!?…あっ。」
業務中にも関わらず、やたらとスキンシップが多いことだ。
今も、抱き着かれた衝撃によってタオルを落としてしまった。また畳み直しだ。
しかも、何より灰崎くんと違って、悪意がないために怒れないののが辛い。
「どうしたんスか?」「…ううん、何でもないよ…。」
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「どうしたら良いと思う?」
朝練の後、黒子くんに相談してみる。彼も、黄瀬くんに態度をころっと変えられていたのだ。
「そうですね。僕の場合は…慣れました。」
遠い目をして答える彼。大変だったんだなと同情する。
「慣れかぁ。」
「とりあえず、しばらくは様子を見たらどうでしょうか?」
「そうだよね。…うん、ちょっと様子を見てみるよ。」
ありがとうと言うと、大丈夫だと微笑む彼。
すると、どこか同情するように「それにしても、灰崎くんといい、黄瀬くんといい、大変ですね。」と話した。
彼の言葉に苦笑する。
「あはは…。今日は2人共、仲良くしてくれると良いんだけどね。」
「あの2人、相性が凄く悪いですからね。」
圧倒的なセンス故に、どこか他人を見下しがちな黄瀬くん。
実力はあるのに、不良で、他人を小馬鹿にする灰崎くん。
この2人の相性は最悪だ。
昨日みたいなことが起きないといいけど…。
私達はため息をついた。
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年7月25日 21時