【スプレーマムの花束を貴方に2】 (ページ14)

今日:56 hit、昨日:5 hit、合計:5,517 hit

60輪目ページ14

〜黄瀬side〜

正直なところ、最初は見下していた。

なんかちっこいし顔も普通、胸は大きいけど平凡なマネージャーだって。

そんな平凡な人が俺のサポートって聞いて、ちょっと不満だった。けど、何故かレギュラーと仲が良いことを知ってからは少し態度を改めた。尊敬している彼らには嫌われたくなかったから。

上手くやれてると思った。内心では見下してるけど態度には出てないって。

だから、「不満に感じてるでしょう？」と聞かれたときには焦った。怒られるんだろうな、とか、チクられるんだろうなって考えてたら、「別に無理して態度を変えなくてもいいよ。」って言われて拍子抜けだった。馬鹿なくらいのお人好しなのか？と思っていたけど違った。

平凡であることを自覚して尚、強豪校のマネージャーでいることへの覚悟があったからだ。

それからなんとなく気まずくて避け続けていた。

けど、祥吾くんとの勝負に負けて、彼女面されていた馬鹿女にも嗤われた時。悔しくて、不甲斐なくて這いつくばっていたら、あの小さな背中が俺を庇うように立つから驚いた。

不良相手にも物怖じ無く発言して。マネージャーとして選手の俺を庇う背中は小さいはずなのに、何故か大きく見えた。

ふと周りを見たら、皆はどこか嬉しそうに、誇らしそうに彼女を見ていて。なんとなく、彼女が慕われる理由が分かった。

庇った理由を聞くと、案の定「私はマネージャーだから。」って優しい笑顔で答える。

その瞬間、俺は今までの考えや態度を反省した。彼女は決して平凡じゃなかった。マネージャーとして芯の通った覚悟をもつ姿はかっこよかった。

…それと、女の子に庇われるなんてガラじゃないけど、なんかいいなって思ったからかな。ハートがころって持ってかれてしまったんだ。