7輪目 ページ9
放課後、さつきちゃんと一緒に体育館へ向かう。
今日から1年生も本格的に練習に参加する。それは、マネージャーにとっても同じで、業務をこなし始めることになる。
強豪校なだけあって、1〜3軍まで存在する我が校のバスケ部には部員数が数多く所属する。そのため、人数分のドリンクやタオルの用意にビブス等の洗濯、ボール磨き、記録とマネージャーの仕事量はとても多い。しかも、その大変さ故か辞める人も多く常に人手が足りていない状態だという。
「今日は3軍の練習で業務をするんだよね。」
練習内容がハイレベルでペースも早い1軍や2軍ではなく、3軍から担当することで業務に慣れさせる、というのが目的らしい。
「うん。…ねぇ、どうしようミケちゃん。何だか緊張してきちゃったかも。」
「私も…。」
体育館のドアを前に、2人して顔を見合わせる。しかしそうも言っていられない。
「よ、よし。いこ、さつきちゃん。」
「う、うん!」
深呼吸をして入ると、多くの部員が練習していた。ボールが跳ねる音、バッシュのスキール音が耳に入る。その熱気に思わず圧倒されていると、「君たちが1年マネ?」黒髪の精悍な男子生徒に声をかけられる。
「は、はい!1年マネージャー、亜麻野ミケです。よろしくお願いしますっ!」
「同じく、桃井さつきです!よろしくお願いします!」
緊張で声が少し上擦ってしまったが、2人で挨拶をして頭を下げる。
「俺は3年の篠原だ。3軍の取り纏めみたいなことをしてる。よろしくな。…で、業務だが、基本的には昨日の説明通りだ。記録とか細かいことはその都度教える。」
彼の言葉に返事をする。
「じゃあ、早速だがドリンクとタオルの用意を頼む。それと休憩を取ったら、3on3をするから準備と得点係をしてくれ。」彼は指示をすると去っていった。
「じゃあ、私はドリンクを用意するね。」
「うん、タオルは任せて!」
さつきちゃんと別れて、水道場に向かった。昨日の説明通り、ボトルに粉と水を入れて振る作業をひたすら繰り返す。
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「ふぅ。」最後のボトルを用意し終わり、ゆっくりと息をつく。数が多いだけになかなか大変だなと思っていると、
「ミケちゃ〜ん、タオルは用意できたよ!」
向こうからさつきちゃんの声がする。
「こっちも終わったよ。」と返事をする。
「じゃあ、一緒に持っていこっか。」
「そうだね。けど流石にこの量は1回じゃ無理だね。」
2人で手分けをして、体育館に大量のタオルとドリンクを運び込んだ。
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年6月22日 13時