39輪目 ページ41
部員は水着を持ってきているが、私達は持ってきていないので濡れてもいい格好に着替えた。日差しが強いので、日焼け止めは念入りに塗る。
さつきちゃんと外に出ると、皆はもう集まっていた。
「じゃ、さっそく泳ごうぜ！」
「ミケちゃん、水浴びしに行こうよ！」
ハイテンションの青峰くんやさつきちゃんに手を引かれる。
「わ、私は荷物番しとくよ。」
「え〜。荷物なんてそんなにないけど。」
言い訳をするが、紫原くんに一蹴されてしまう。ま、まずい。
「うっ。じゃ、じゃあ、私は砂遊びでも…。」
「亜麻野、どうしたんだ？」
流石に不審に思われたのか、赤司くんに尋ねられる。
「え、いや、なんでもないよ。」
「いや、さっきから変だぞ、お前。」「ミケちゃん？」
なんとか誤魔化そうとするも、上手い言い訳が思いつかない。
「…ミケはカナヅチなのだよ。加えて海水も苦手だ。」
「ちょ、言わないでよ、真ちゃん！」
すると真ちゃんにバラされてしまう。
この年で全く泳げないなんて恥ずかしいこと、知られたくなかったのに！！
「え、亜麻ちん泳げないの？」
「ま、マジかよ…ぷっ。」
「わ、笑わないでよ、青峰くん！」
「だ、だって、中学生でカナヅチって…ぷっ、くくっ。」
紫原くんはいいとして、笑っている青峰くんは許せない。
「恥じることはないさ。誰だって不得意なことはある。」
「そ、そうだよね。…ということで、私は砂遊びでもしてるから、皆は楽しんできて。」
そう言うと、納得したように皆は海の方へ向かって行った。
はしゃぎながら去っていった皆の背を微笑ましく思っていると、真ちゃんが居ることに気付く。
「あれ？真ちゃんは行かなかったの？」
「ふん。海水でベタベタになりたくないからな。」
きっと気を遣ってくれたのだろう。その優しさに嬉しくなる。
「そっか、ふふ。」
「何を笑っているのだよ。」
不審そうにこちらを見る彼。
まったく、素直じゃないんだから。
「なんでもない。じゃあ、砂でお城でも作ろっか。」
「仕方がない。付き合ってやるのだよ。」
私は彼の手を引っ張った。
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作者名：みぃ太郎 | 作成日時：2023年6月22日 13時
