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32輪目 ページ34

お風呂場から出ると少しふらついた。何だか体もほてっている。
ちょっとのぼせたかな。

すると、真ちゃんが椅子に座っているのが見えた。

「真ちゃ〜ん。」
「ミケ、やっと出てきたか。」
声をかけると、彼は少し呆れた様子でこちらに来た。どうやら私を待っていたらしい。

「どうしたの?」
「…いつものように風呂に長く浸かっていたんだろう。顔が赤いのだよ。のぼせてるんじゃないのか?」

そう言って私の頬に触れる彼。ひんやりとした手が今は心地良い。

「真ちゃんの手、冷たくて気持ちいいねぇ。」
彼の手に頬をすりよせる。

「…熱いな。ほら、これでも飲め。」
そう言って彼はポカリを差し出した。

「ありがとう、真ちゃん。」
ありがたく受け取って、それを口にする。おかげで少し体のほてりが治まった。

「歩けるか?」
「大丈夫だよ。」そう言って歩こうとするが、少しふらついてしまった。

「まったく…。しかたのないヤツなのだよ。」
「わあっ。だ、大丈夫だから降ろして。」

横抱きにされるが、流石に申し訳ないし恥ずかしい。降ろしてとお願いするが、聞き入れてもらえない。

「どう見ても大丈夫ではないのだよ。いいから捕まっていろ、部屋まで送る。」
「ごめんね…。」
「ふん、それにお前がのぼせることなんて予想していたのだよ。どうせ久しぶりの温泉で子供のようにはしゃいだんだろう。」
「うぅ。当たってる。」

流石は幼馴染み、全部正解です…。

ちらりと彼を見上げると、優しく微笑んでいた。
呆れた声とは反対のその表情に、胸のあたりがきゅっとする。顔が真っ赤になるのを感じた。自分はどうかしてしまったんだろうか。

「どうしたのだよ、また顔が赤くなっているが?」
「ひゃっ。か、顔を近づけないでっ!」

急に寄せられた顔に心臓が跳ねる。
なぜか今は、真ちゃんの顔を直視できない。

「何を言っているのだよ。…もしかして、熱でもあるのか?」
「っ〜!」
「平熱だな。」

こつりと額を合わせられて、恥ずかしさで絶句する。
おかしい、こんなの普通のことなのに…!


恥ずかしさと、よく分からない感情に頭がくらくらする。
見つめてほしくないのに、見つめてほしいような感情。

本当に私はおかしくなってしまったんだろうか。


明らかにのぼせていたときとは違う熱を感じながら、私は部屋まで運ばれた。

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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年6月22日 13時

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