15輪目 ページ17
恐怖で固まっていると、
「おいっ!テメェ、亜麻野を離せっ!」
「おっと。」
怒号と共に、青峰くんに引き寄せられる。やっと離された腕と彼の姿を目にしてほっとする。
「ちっ、邪魔が入っちまったな。まぁいいや、また今度な、ミケちゃん?」彼はそのまま去っていった。
「あの野郎っ!…おい、大丈夫か、亜麻野?」
「助かったよ、ありがとう。」
「ミケちゃん!ごめんね、私を庇ったせいで…。」
ぽろぽろと涙を溢しながら話すさつきちゃん。きっと彼女が彼を呼んでくれたのだろう。
「ううん、悪いのはあの不良だよ。助けを呼びに行ってくれたんだよね。ありがとう。」
「っ、ミケちゃ〜ん!」
「わっ。」
彼女に抱き着かれて尻餅をついてしまう。私も彼女に腕を回した。
しばらくそうしていると、
「ミケっ!」
「亜麻野、桃井、無事か?」
「真ちゃん?それに赤司くんも。」
少し焦った様子の彼らがこちらに来ていた。どうやら、さつきちゃんが青峰くんを呼びに行った時、ただならぬ様子だと感じたらしい。
「さつきちゃんと青峰くんのおかげで無事だよ。」
「私も。」
私達が話すと、彼らはほっとした様子を見せる。
「部活には出れそうかい?」赤司くんが尋ねる。
「もちろん出るよ。」
「うん!楽しみにしてたんだから。」
そう答えながら立とうとするが、腰が抜けて立てなかった。
「ミケちゃん?」不思議そうにこちらを見る彼女に、
「あはは、腰が抜けちゃったみたいで…。お恥ずかしい。」と答える。
「恥ずかしいことあるかよ。ほら、手ぇ出せ。運ぶ。」
「青峰くん…。じゃあ、お言葉に甘え、わぁっ!」
彼に手を出そうとすると、突然、浮遊感を感じた。
「俺が運ぶのだよ。」「真ちゃん。」
いつの間にか真ちゃんに横抱きにされていた。そのまま彼は私を体育館へと連れて行った。
「…真ちゃん。」
「言いたいことはたくさんあるが、部活が終わってからだ。…ひとまず、無事で良かったのだよ。」
安堵したようにこちらを見る彼に私もほっとした。
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年6月22日 13時