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鎖が42本 ページ46

注射、毒物作用の描写があります。専門的な知識はないので適当です。
苦手な方は閲覧をお控えください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

……気持ちがいい。
暗闇の中で何か暖かいものに包まれているようで、目を開けたくない。
叶うなら、此の儘また惰性に任せて眠りに落ちて行きたい……。

「ふんふふん、ふんふん」

そんな気持ちは太宰さんの鼻歌によって阻害された。
覚悟を決めて重たい瞼をゆっくりと開け、暫し瞬きを繰り返す。

其処は地下牢だった。
私は椅子に縛り付けられ、私の目の前で太宰さんは嬉々として注射の準備を始めている。

「だざいさん……」
「あ、起きた? 身体の調子は如何だい?」
「特には……大丈夫です」
「そう。其れなら大丈夫だね」

太宰さんは私の腕をとり、駆血帯を巻いて消毒をした。

「怖い?」

注射器を構えておきながらそんな事を聞く太宰さんは本当に性格が悪いと思う。

私は頷いた。

「でもね、拷問の時は態と注射する所を見せる場合もあるから……。
寧ろ強がってでも笑ってご覧」

難しい事を云う。
其れでも私は強張る頬の筋肉を無理矢理動かし笑顔を作った。

「うん、かぁわいい笑顔。
じゃ、親指中にして拳を作ってくれるかな?」
「はい……」

太宰さんは指で軽く皮膚を伸ばし、採血の時のようにごく浅い角度で針を入れた。

痛みはあるが其処まででもない。

すぐに駆血帯を外された。

「はい、ゆっくり拳開いて」

云われた通りにすると液体が注入され、素早く針が抜き取られた。

しっかりと止血をされ、太宰さんは注射器の片付けを始める。
体に違和感は感じなかった。

「太宰さん……」
「ああ、まだ入れてから間もないからね、体に毒が回っていないのだよ。
あ、それまだ外しちゃ駄目だよ」
「はい」

聞きたかった事を云い当てられ、止血をやめないよう釘を刺された。

この後か、気分が悪くなるのは……。
流石に笑顔を留めるのはキツイ。
恐怖を紛らわそうと太宰さんを見つめるが、注射器を笑顔で片付ける太宰さんは別の意味で怖い。
目のやり場が何処にもなかった。

「よし……。始めてだから今日は私も一緒に居てあげる。
でも次からは一人で我慢するんだよ」
「次もあるんですか……」
「当然。耐性をつける為だもの、仕方がないよ」

太宰さんがそう云った時、下腹部に軽い痛みを感じた。

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れい - 続き、楽しみにしています(*´∇`*)/ (2017年8月3日 12時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - れいさん» ありがとうございます! (2017年8月3日 11時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
れい - 読み方はボスですよ。 (2017年8月3日 11時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - ありがとうございます。読み方はしゅりょう、ですか?ぼすですか? (2017年8月3日 11時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
れい - 黒の時代での森さんへの呼び方は首領、探偵社入社後は森さんですよ。 (2017年8月3日 10時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:徒長 | 作成日時:2017年8月1日 12時

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