確率少女は知っている 前編 【探偵チームＫＺ事件ノート】

４％ ページ4

結局、あの後の話し合いでクラスの出し物は劇に決まった。

なんでも、男女逆転版ロミオとジュリエットらしい。


みんなこの案が出た時は大盛り上がりで・・・
男子は誰がジュリエットをやるか。女子はやっぱり誰がロミオをやるか。


でも、一番白熱した戦いとなったのは衣装づくりの係。


やっぱり女の子の中には、素敵なドレスを一度作ってみたいという子が何人かいたんだけど、
あまり多いとほかの係で一人の負担が相当重くなる。

だから裁縫の得意な家庭科部の女子、前野さんと有明さんにお願いしたみたい。

ここまではとりあえず順調だった。



話し合いも終盤に差し掛かったころ、ある男子生徒が爆弾を投下したのだ。



「そういえば、実行委員てなんもやってねぇじゃん」



とたん、クラスがハッとした様な雰囲気に包まれ、そこからは非難の嵐。



「実行委員も何かやれよー！！」

「お前らは会議するだけで終わるからいいよなぁ！」

「んだと！」



そして挑発に簡単に乗る若武和臣。

結局、実行委員は実行委員で作業の遅れているところの手伝いをすることになった。

正直、舌打ちを何度繰り返したかわからないほどいらついている。



(若武和臣が遅れているところの補佐に入るなんて、女子が知ったらどうなるか。)


(若武和臣と堂々と一緒に作業ができる上に、同じ作業をするから会話も生まれる。
若武狙い、といっている女子たちは必ずといっていいほど作業を遅らせるだろう。)


(そのうち、どこが作業を最も遅らせるかの競り合いになって、全体的に作業が進まなくなる
って・・・・どうしてわからないのかしら。)


この教室内での若武和臣を好きな女子の割合、作業ペースダウンがどのくらい落ちるかの予想、
すべてをひっくるめて期間中に終わる確率は３５％。


男子の手と、私自身がどれだけ早くできるかがカギになりそうね。


「それじゃあ、作業を始めてください。」



そう号令をかけると、やはりというか、女子のほとんどは作業をしているふりをして若武和臣を見ながらおしゃべりをしていた。

５％→←３％

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す