1、赤司様→征 ページ1
「華織」
「うるさい」
「...ちょっと
「しつっこいなぁ!!いいかげんにして!!」
「...わかったよ」
ああ、イライラする。
私はかつて様付けで崇めていた彼を睨みつける。
彼とは、赤司征十郎。「黒子のバスケ」の登場人物だ。加えてキャラ人気では1位に輝いた。
「またあとにするよ」
「ハイハイさよならー」
征に向かって舌を出す。
征は呆れたように離れていった。
私は彼を征と呼ぶ。
昔は憧れていた双子の姉ポジション。
そんなもの、1ヶ月でうざったいというのに。
「あの頃のままが良かったよ...」
あの頃とは、私が三次元の住民だった頃のことだ。
オタクだった私は特に黒バスが好きだった。
ストーリーの面白さに惚れ込み、キャラ...赤司を好きになり、赤司様なんて呼んでいた。
...それがどうだ、今は。
大好きだった「赤司様」の双子の姉になったにも関わらず、邪険に扱う日々だ。
毎日毎日、あいつにイライラしている。
私は本棚から参考書を取り出す。
赤司家の人間ならば、色々できなくてはいけない。
そう言われ転生してきて2年もしないうちから英才教育を受けてきた。
女だから運動は並だが、他は征程度の能力はあるつもりだ。
いつか出し抜いてやりたいが、征はまだまだ伸びるんだろう。
この間の全国模試はトップだった。
私は10位。
だから本当に憎らしい。
そんな状況で、二次元の住民としてすでに16年も生きてしまった。
つまり、高1だ。
なりゆきで洛山に通ったりと、テンプレート的なトリップスタイルだが何も楽しくない。
征がいるから。
「あー、頭痛くなる。なんか飲もうかな」
部屋を出て、リビングへと向かった。
京都の高校なので、私は征と2人でマンションに住んでいる。
まったく、おいしくない状況である。
リビングに入ると征がいた。
私は軽く睨みつけてから冷蔵庫を開けようとした。
その時、
「華織、話があるんだが」
征が話かけてきた。
喉が乾いている私は、一刻も早く何か口にしたい。
...はずだったが、征の真面目な顔に気圧されて向き直る。
「なに?」
「ああ、実は全国模試のことでー
「あ、ハイわかりました急いでるんで失礼しますねハァーイ」
「華織...」
誰が勉強の話なんかするもんか!
征に長ったらしく説教されるなんて後免だよまったく!
いらだった私は、冷蔵庫の茶の缶を取り出し、開けてから勢いよくあおる。
征が失笑しているのが見えた。
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作者名:なびす子 | 作成日時:2014年8月11日 0時