溺愛される鬼少女③ (ページ6)

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切ない夜① ページ6

「…何だったの、本当」

蝶屋敷に帰るなり部屋に閉じこもった私。
…相変わらず汚い部屋だ事。

「～～っ」

さっきの実弥さんの顔も唇も舌も
全部鮮明に思い出す。

「…スケベ柱め」

そう言いながら枕に顔を埋めた。

普通に恥ずかしいじゃんね。
好きでもない人にそんなことしたら駄目だよ。

なんて言うけど私も鈍感じゃない。
もしかして、私の事好きなの？

いや私なんかを好きになる人なんていないか。

…ていうか叩かれたし馬鹿って言われたし。
嫌われてるの？私。

何なのあの人何したいの。

「はあああ！！もう！！」

モヤモヤするわ。

コンコンコン

「何言ってるの」

「もはやノックした意味ね」

入ってきてからノックをするという意味のなさを披露したアオイ。

「ご飯出来てるから来てよ」

「今すぐ行く！」

シュタッと言いながら寝台から飛び降りた。

「効果音は自分で言うものじゃないけど」

と言われたけど気にしません。

今日は何かなあ。
なんでも嬉しいけどね。

「そう言えばA。何をしていたんですか」

「えっ！？いや、あの…」

しのぶさんにそう聞かれた瞬間
ブワッと顔に熱が集まった。

「ど、どうしたの？」

カナヲにそう言われて顔を両手で覆う。

「なんでもない！」

義勇さんと実弥さんにされた事なんて誰にも言えない。恥ずかしい。

「まさか、何かされたんですか？」

そう言ったしのぶさんの顔を指の隙間から見るとすごく…怒ってる顔が。

「な、な何かってなんでしょう！？」

「分かりやすすぎ…」

アオイの冷たい視線が痛い。

「Aさんも大変ですね！」

「お煎餅あげます！」

可愛子ちゃん3人組が私の癒し。

「うう…ありがとう」

謎に弱りきった私は泣きながら(嘘泣き)ご飯を食べた。美味しいよぉ。

「カアア！任務！任務ゥゥ！」

「うわ、ご飯中だって！」

サボりのくせに。
そして私のハムを取るな！

「今スグ向カエェ！！」

「…なんでギリギリに言うの？」

「フフ。忘レテタ」

笑い事じゃないんだけど。

「帰ってきたら食べるから置いといて！いってきます！」

バタバタしている私の後ろで

「本当に大変ですね」

としのぶさんの笑い声が聞こえた。