溺愛される鬼少女③ (ページ31)

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涙がお似合い① ページ31

もう何日経っただろう。
泣くのも疲れて何もしたくなくて

毎日寝台の上で時間だけが過ぎていく日々。

コンコンコン

ドアを叩く音に返事をする気にもなれない。

「…A、ご飯置いておくね」

何も食べなくても生きていけるのに
鬼だから大丈夫なのに

アオイはいつも持ってきてくれる。

毎回食べなくてごめんね、アオイ。

「…っ」

可笑しいな、泣くのも疲れたはずなのに涙出てる。

泣いたって解決するわけないのに。

「やめてください！」

「もう我慢できない！！」

「あ、だめ！入ったら…」

騒がしいな。
足音が近づいてきた。

ガチャ

「A！！」

「…善、逸」

ノックくらいしたら？
久しぶりだね。

声が出にくくて何も言えない。

「おま、なんでそんな事なってんの！？」

「…え？」

「だから、早く出てってください！善逸さん！」

ズカズカと入り込んでくる善逸と
それを慌てて阻止しそうとするアオイ。

「紋逸の言う通りだぜ」

「あ！伊之助さんまで！」

足音を立てて入ってきた伊之助が私の隣に座る。

「いつまでベソベソしてんだ。お前らしくねぇな」

バシッと大きな音で私の背中を叩いた。

「炭治郎みたいに優しくないからさ俺たち！そろそろ限界なんだけど！！いつまでアオイさんが持ってきたご飯残すつもり！？」

と言いながらアオイが持ってきてくれたお粥を食べる善逸。

「それアナタのじゃない！！」

「知ってるよ！Aが食べないから！」

久しぶりに見たこの光景も
声も顔も。

「…でも、私、辛いから」

放っておいてほしい。

「…Aっ」

アオイの泣きそうな顔を見たくなくて目を背けた。
枕を抱き抱えて顔を隠し手を追い出すように降った。

「出てって」

出て行ったら泣くくせに。
私は矛盾してる。

「…っそ、そうよね」

ごめんね、アオイ。泣かないで。
アオイは悪くないよ、全部未熟な私が悪い。

「出て行かねーよ」

だから家族も友達も失った。

「だめ、伊之助も善逸も出てって」