溺愛される鬼少女③ (ページ25)

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派手に行こうぜ④ ページ25

「じゃ、後はよろしくな」

隠の人にそう言った天元さん。
私はこっそり隠れてるんだけど…

お館様が近いうちに隊全員に私の存在を連絡するまでは目立たないようにって言うから。

まあ結構バレてるんだけどね。

「帰るぞ」

「はーい」

足長いから歩くの速いんだよ。
早歩きしてんのかよ。

「…なあ」

「ぶへっ！…なんで急に」

急に止まるから鼻ぶつけた。
筋肉質すぎて鼻潰れるんだけど。

「あ、わり」

「不細工なったらどうしてくれんの…」

「嫁にもらってやるよ」

「嫌」

なんて言い合ってると天元さんは少し俯いた。
…き、傷ついたかな。どうしよう。

「俺、お前に酷いこと言ったな」

「え？あ、う、うん」

正直すぎて殴りたい自分。
そんなことないよ！って言えばよかった。

「…ほんと、悪かった」

「いや。全然大丈夫ごめん」

そう言えばあれから彩さんはどうなったんだろう。
全然会わないなあ…

「俺はお前を信じきれなくて…」

「…うん」

「あいつの言葉を信じた」

「うん」

いつも派手派手な天元さんが地味になってる。
相当悩んだのかな。

「本当に悪かった」

「天元さんが戻ってきてくれてよかった」

頭を下げた天元さんにそう言った。

「本当にお前ってやつは…」

その続き何？って感じだけど。

「まあでももう気にしないでくださいね。気にしてる天元さん地味でダサくて笑いそうになるし」

「言ってくれんじゃねえか」

いつもの調子に戻ったらしい天元さんは般若のような顔で近づいてくる。怖い。

「ごめんって」

「上司に向かってその言い方とは派手な奴だなア」

「すみません！」

締められそう。
とりあえず走って逃げるよね。

まあ捕まったけど！！

「すみま…なんで！？」

ガシッと肩を掴まれたかと思うとそのまま抱っこされた。

まるで子供みたいに。

「このまま帰るぞ」

「すごい目立つ！！」

「派手に行こうぜ」

地味に帰りたかった。