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「みんなおはよう!」
翌日、教室に現れた彼女はいつも通りだった。いや、いつも通りのように見えただけかもしれない。
「いやぁ当主ともなると少し忙しくなるかと思ったけど、叔父さんが卒業するまでは家の事やってくれるらしくてね!ごめんね悟、先に上司になっちゃった。」
「いや、なんも悔しくねぇよ。」
「え〜面白くないなぁ〜」
「……Aさぁ……」
「ん?」
「その笑顔、するくらいなら笑ってないがいいよ。」
「硝子……」
家入は、彼女と目を合わせることなくそう言った。いつもなら一番に彼女の元に駆けて行くのに、今日はその素振りさえも見せなかった。
「……酷いなぁ、硝子!今日はご機嫌斜めかい?」
「そうじゃない。………そんな無理やり笑わなくていいんだよ。」
「無理矢理じゃないよ。君たちといると、自然と笑顔になるんだ!」
初めて会った時のよう。貼り付けただけの笑顔みたいで、家入にとってはそれがどうにも気持ち悪かった。
「さて、タバコでも吸ってこようかな〜」
そう言って、彼女はひらひらと手を振りながら教室を出ていった。
「……あいつ、あれで隠してるつもり?」
「……だろうね。」
「……私、今のAは嫌い……笑ってほしくない。」
「気持ちも分からんでもないけど、今の彼女にはそれが精一杯なんだ。精一杯すぎて、笑い方が分からなくなってるんだよ。」
「………………」
「………あいつの兄貴はどうしてんの?」
「順調に回復中。治ったらその後は新本館に戻るらしい。Aの勧めで今後高専に来る予定らしいけど。」
「……そ。」
「……早く帰ってこいよ昭義さん〜………」
そう言って、家入は机に項垂れた。2年生生活もそろそろ終わろうとしている頃なのに、こんな悲劇。誰も予想していなかった。
こんな世界だ。何が起こるかなんて、本当に分からないものだ。
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moo(プロフ) - まさかの展開に驚きました!幸せ家族で良かったです! (8月9日 3時) (レス) @page46 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
43yomi1(プロフ) - いきなりすみません…すっごく面白くて、楽しませて貰ってます!!応援してます!!更新頑張って下さい! (2021年3月3日 9時) (レス) id: 674eb44c7b (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - 多分ですけど上の連中が練習になってます! (2021年2月26日 23時) (レス) id: 46e621c864 (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - 花蛸花さん» わざわざありがとうございます!そのお話、楽しみにしてます!! (2021年2月26日 0時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - あの、質問なんですけど、いつ美々子と菜々子を助けたんですか?最新読んで「その話あったかな……?」と思ってしまいまして……夏油さん推しなのでみんなハッピー状態なのがすっごい見てて幸せになりました!! (2021年2月25日 22時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年2月22日 2時