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「何故、そう思ったんだい?」

「簡単な話かと。不振な点が二つ。一つは社員のことを調べられるのに、何故今日この場に社長が居るかどうかを調べないのか。二つ、社長を狙うなら、社長室に突っ込んでいったほうが手っ取り早いのに、何故態々こんな面倒な事をするのか。こんなの、捕まえてくださいと言ってるようなものでしょう。

然し、これだけでは入社試験だと決め付けるには早すぎる。犯人が余程の馬鹿なのか、本来の目的が社長ではなく社員という可能性も捨てきれない。ですから私は、異能力を捏造し、犯人の気を逸らし、こうして確保した訳です。この爆弾が本物で、もしスイッチを押されてしまった場合には、私の異能力を使う予定でした。」





話し終えた彼女は、「実際どうなんです?もし嘘ならさっさと解放してあげないと可哀想ですけど」と、尻の下に敷かれた青年___谷崎潤一郎___を見ながら言った。





「……お手上げだ。彼はうちの探偵社員。人質はアルバイトの事務員だよ。」

「成程。それは失礼。」





彼女は谷崎の上から退くと「お怪我は?」と手を差し伸べた。谷崎は差し出された白く細い手を取り、立ち上がった。





「は、はい、大丈夫です……」





そう言った谷崎の左頬は赤く腫れているが、この程度であれば問題は無い。そう思われていたが、人質役の事務員___谷崎ナオミ___が谷崎に飛びついた。





「あぁーん!兄様ぁ!大丈夫でしたかぁぁ!?」

「痛だっ!?いい痛いよナオミ、折れる折れる!っていうか折れたァ!!」





流石にこの展開は予想外だった。Aはぽかんとその二人を見たあと、何も見なかったかのように視線を逸らした。それは正しい選択である。





「君の言う通り、これは一種の入社試験だ。」





太宰の言葉の後、事務所の扉が開いた。そこには、ペロペロキャンディを舐める江戸川と、両手を組んでこちらを見る福沢の姿があった。その鋭い眼差しにも怯まず、彼女は頭を下げる。中島は思った。やはり女は強いと。





「君、中々いい観察眼を持ってるね。まぁ僕には到底及ばぬ、赤ん坊レベル、だけどね!」

「貴君が我社への入社を希望していると聞き、その実力と魂の真贋、試させてもらった。」

「で、社長……結果は?」





国木田の言葉に、福沢は少しの間の後口を開いた。





「合格だ。貴君を我社に歓迎する。」

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琉亜 - うち的にはもうちょい安吾との絡み見せて頂きたい (2023年2月23日 23時) (レス) @page7 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月29日 1時

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