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如何にも、な誘い文句だ。彼女はちらりと目の前に立つ二人の男を見ると、その品の無さに溜息をつきそうになる。軽々しく肩に乗せられた手を、彼女はキャペリンハットの下で睨みつけていた。
「ずっと見てたんだよね〜!可愛いなって!どう?用事ないなら俺らの友達も呼んで皆で遊ばない?」
「申し訳ありませんけど、私たち人を待っておりますの。」
「じゃあその友達も一緒でいいからさ!」
誰も友達、だなんて言っていないだろうに。彼女はそう言いたいのをこらえ、むっと男たちを睨むナオミの手を引いて後ろに隠す。
「少々気荒い方々ですので、ここは引いていただけませんでしょうか。」
「あ、そういう感じ?全然!俺ら気にしないよ!」
「てか君、よく見たら目の色左右で違くない?オッドアイってやつ?お姉さんもしかして外国人?」
「お、まじじゃん!
プライベートなのだからカラーコンタクトをつける必要も無いと思い付けてこなかった彼女だが、やはりつけてくるべきだったと今更後悔する。
彼女は、にこりと笑みを浮かべた。
「えぇ、宜しいですよ。但し………私達の連れがなんというか。」
彼女は小首を傾げた。次の瞬間、男達の肩をそれぞれ掴む手があった。その手はそれぞれ違う人間の手である。
「やぁ、妹に何か用かい?」
「用なら僕らが直接聞きますけど。」
笑顔を浮かべているはずなのに笑っていない、黒いオーラを放つ太宰と、まるで般若のような顔で男を睨みつける谷崎。谷崎はともかく、Aに絡んでいた男は災難だ。何せ、太宰は元ポートマフィアの最年少幹部だ。般若なんて非でもないほど恐ろしいことだろう。現に、男たちは固まってしまっている。
「いやぁ、Aの瞳は確かに美しいからね!君たち見る目があるよ!然し、私の妹に軽々しく触れるのはいただけないねぇ。」
「ナオミはお前たちみたいな不埒な男を相手にしない。さっさと消えてもらおうか。」
「それとも……少し痛い目にあってもらおうかな?」
太宰の目がきゅっと細められる。男たちの身体がぶるりと震え、情けない声を上げながら走り去っていく。
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Napia - 完結おめでとうございます!! お疲れ様です!! 毎週のように「更新してるかな?」とウキウキしながらみてました!! 番外編も読みますぅ!! (2022年4月26日 16時) (レス) @page37 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)
あんころ(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます!ダントツで面白かったです!! (2022年4月23日 19時) (レス) @page36 id: 9e178210e2 (このIDを非表示/違反報告)
クリスタルパワー(プロフ) - 完結おめでとうございます!!いつも更新を楽しみにしてました!番外編があったら楽しみにしてます! (2022年4月23日 19時) (レス) id: 47ef91694a (このIDを非表示/違反報告)
向月葵(プロフ) - 完結おめでとうございます〜!最初の頃からずっと応援していたので、見届けられてほんとに嬉しいですし、めちゃくちゃ面白かったです!番外編も楽しみにしてますね。 (2022年4月23日 19時) (レス) @page36 id: b81c3ee352 (このIDを非表示/違反報告)
Hazuki(プロフ) - 凄く面白いです!15ページの「鼻歌」が「花歌」になっています…間違っていればすいません。これからも更新楽しみにしています!! (2022年4月21日 20時) (レス) @page15 id: 140c609c2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月16日 11時