捨てられた妹-7【文スト】

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｢おやまぁ、情けのない殿方です事。｣

｢A、大丈夫だったかい？どこか怪我は？｣

｢お怒りの兄様も素敵でしたわ〜！♡｣

｢ちょ、ナオミ……！｣





谷崎に抱きつきに行くナオミを横目に、｢特になんとも｣と太宰の問いに答えた。





｢あの程度の輩に怪我を差せられるほど弱くないわ。兄様たちが来なかったら自分でなんとかする心算だったし。｣

｢君の"なんとか"は洒落にならなさそうだね。｣

｢さぁ、待ち合わせもクリアしましたし、早速二重逢引いたしましょう！｣

｢何処に行きたいの？｣

｢まずは……｣





Aと腕を組み、るんるんと効果音が着きそうな程に浮き足立っているナオミ。彼女が着ている薄水色のワンピースはAの選んだものだ。ふわりふわりと揺れるスカァトが何とも愛らしい。

彼女は白のワンピースを着ていた。スカァトの部分が裾に向かうにつれて水色になる、美しいグラデーションだ。白の鍔の広いキャペリンハット。そこから伸びる金髪がなんとも美しい。そんな彼女に、兄二人が数歩後ろから着いていく。





｢こうして見ると、まるで姉妹のように見えるね。｣

｢そうですね。ナオミもすごくAちゃんに懐いてるみたいです。｣

｢………あれ、今までAさんだったよね？いつの間にそんなに仲良くなったんだい？｣

｢少し前に、用事だとかでAちゃんが探偵社に遊びに来たんですけど、僕と敦くんの方が歳上なのに、そんなにかしこまる必要はないって言われて……そこからですかね。｣

｢待ってそれ私知らない。｣

｢太宰さんが仕事をさぼって探偵社に居ない時に来てましたからね。｣





太宰はその時の自分を心底恨んだ。職場が違う上に、敵組織同士なので一緒に住む事もできない。協定もあるので大きな争い事に発展しないにしろ、一緒に住むのは少しばかり拙いのである。常日頃一緒にいる谷崎兄妹と異なり、彼らは殆ど顔を合わせないのだ。その為、彼女が探偵社に来る日は貴重だ。それを逃してしまった。完全なる自業自得である。任務で居なかった、という訳ではなく、さぼって職場に居なかったのだから。





｢なんで連絡してくれなかったんだい！？｣

｢しましたよちゃんと。でも出なかったじゃないですか。｣





何度電話をしても出なかった。これは完全に太宰の責任である。太宰は｢あぁぁぁぁああ……｣なんて情けない声を上げる。





｢何を騒いでいらっしゃるのかしら……？｣

｢放っておきましょう。｣

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