前髪と息子-4【呪術廻戦】

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｢ふぅー………あなたはいつからそんな不器用な男になったんですか？夏油さん、この子に何を吹き込んだんですか。｣

｢最初に私を疑うのなんでかな。｣





信用無さすぎない？そう言う夏油に、七海はまたため息をつき、サングラスを押し上げた。





｢Aくん、私は教えましたよね。女性には優しく、そして女性関係には気をつけるようにと。｣

｢…………そうだっけ？｣

｢あなたの記憶力の良さは我々が一番よく理解してるんですけど。｣

｢A、お前は真希が好きなんだろ。それでどうやったら他の女に目移りするんだい？｣

｢別に、目移りしてるわけじゃない。ただその……なんというか………父さんには分からないような理由。｣

｢ねぇ今日どうしたの？私何かした？？｣

｢そもそも普通はこんな話父親にはしないかと。｣





いつにも増して反抗的な態度をとる息子に、夏油は不服そうだったが七海の言っていることも一理ある。もし自分がAの立場なら、普通女絡みの複雑な事情なんて親に話したいとも思わない。





｢Aくん、あなたは少し臆病になりすぎている。それ故に不器用になってしまう。違いますか？｣

｢………確かに………あー、………そう、…かも、｣

｢今の関係から一歩踏み出せないもどかしさは同じ状況下にたったことの無い我々では分かりません。しかし、それを乗り越えてあなたは大人になるんです。まずはぶつかること。もし砕けたらその後のこともまた後で考えればいい。あなたは若いんですから、時間はまだ沢山ある。

臆病になりすぎて彼女との関係が拗れたら、それこそ大人になるための一歩を踏み出せていない事になる。あなたならきっと出来ると思いますよ。｣

｢………建人くんに聞いてもらえてよかった。｣

｢待って私は？｣

｢うるさい。｣

｢やっぱり私になにか恨みあるよね？｣





Aは夏油の言葉を無視して、今度お礼をするよ、と七海に一言言ったあと教室を飛び出した。





｢………まぁ、彼なら玉砕することもないでしょうが。良かったですね、やはりあなたに似てませんよ。一人の女性を真剣に愛そうとしている。｣

｢……もしかしてそれって嫌味？｣

｢はい。｣

｢………傷付いた。｣

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